シリア難民(トルコ)支援速報

シリア難民(トルコ)
Syrian refugees
(Turkey)

事業開始年:2021年〜

現在の活動地:
キリス県、カフラマンマラシュ県、
シャンルウルファ県、北西シリア・サルカン市

シリアから避難している人びととトルコでの受け入れコミュニティの人びとのための人材育成事業

支援活動概要(事業地:ブルサ県)

ブルサ県に住むシリア難民とホストコミュニティが、需要の高い業種のスキルを習得することで就労の可能性を高める事を目的としています。必要なスキルの訓練や教育によって、政府認証の修了証や資格を取得する事で、雇用可能性を向上させます。また、シリア出身者がトルコ社会において、生活や仕事がしやすくなるよう、職業に特化した言語学習と公共サービス利用の仲介をサポートします。加えて、企業等の下で学んだ技術の実践的な訓練を積み、ブルサの労働市場の需要に応じた形で彼らのスキルが向上し、より良い労働環境を選択できるようになります。
具体的には、①トレーニングセンターへの資機材の提供と、②その施設や企業等での職業訓練、キャリアカウンセリング、職業関連用語に特化した言語習得支援などの多様な就労支援を行い、求職者をニーズ、経歴、関心、スキル、状況に応じてグループ分けし、様々な職種での訓練や各職種に特化したトルコ語のクラスを開催します。需要の高いスキルを習得し、シリア難民にとって障壁である職業に特化したトルコ語の専門用語を身に付け、証明書(トレーニング修了証)を獲得する事で、彼らがスキルを活かした職に就き、彼らの生活地域が安定化することを目指します。

具体的な内容

1. トレーニングセンターへの資機材の提供
2. その施設や企業等での職業訓練
3. キャリアカウンセリング
4. 職業関連用語に特化した言語習得支援

支援により改善されること

シリアから避難している人びととトルコでの受け入れコミュニティの人びとの能力開発に必要な資材とインフラへのアクセスが改善されます。また、ブルサの労働市場の需要に応じた形で彼らのスキルが向上し、より良い労働環境を選択できるようになります。

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持続可能な復興を目指した地震被災者用炊出し施設支援

支援活動概要(事業地:ハタイ県)

2023年2月にトルコ南東部で発生した震災によって、ハタイ県は甚大な被害を受けました。同県では現在11の炊出し施設が脆弱な人びとの支援をしていますが、ボランティアと寄付に頼っているため、運営は不安定です。そして、スタッフの多くは震災のトラウマを抱えており、安定的な運営のリスクとなっている。このような状況に対し、本事業では2か所の炊出し施設の運営費用(食材、消耗品、人件費)を補助し、支援期間における運営の安定化を図りました。その間、施設スタッフにこころのケアを提供し、スタッフの心理的不安を緩和しました。合わせて施設の能力強化計画の立案・実施を支援し、収入創出計画を支援することで、持続可能性の向上を目指しました。

具体的な内容

1. 炊出し施設の運営費用(食材、消耗品、人件費)の補助。
2. 炊出し施設スタッフのこころのケア。
3. 炊出し施設の能力強化計画の立案・実施の支援。

支援により改善されること

支援により炊出し施設の運営が安定し、能力強化計画を通じて、炊出し施設の持続可能性が向上につながります。

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トルコ・シリア地震被災者を対象とした緊急支援

トルコでの支援活動概要(事業地:カフラマンマラシュ県、シャンルウルファ県)

被害の大きいカフラマンマラシュ県、シャンルウルファ県で、被災した人びとに食糧(累計12,565人)、寝具・衛生用品等(累計7,016人)を配付しました。両県は、シリア国境と比較的近い事もあり、地震以前からシリアの人びとが多く住む地域です。
食べ物を提供し、寒い日々が続き、暖房施設が十分でない環境での避難生活をサポートするため、毛布やマットレスなどの寝具を配布。男女それぞれの衛生キットも配布し、人々の避難生活中、懸念が高まる病気に対する脆弱性を緩和する緊急支援を行いました。
避難生活を余儀なくされている人々が、安全な場所で命を繋ぎ、少しでも元の生活に近づけるよう、サポートいたしました。

支援により改善されること

トルコ南東部の地震で被災した人びとに食糧、急務とされる非食糧物資を配布しました(食糧:累計12,565人、寝具・衛生用品等:累計7,016人)。これにより、避難生活の冬を乗り切るための、食糧危機の状況と衛生環境が改善しました。

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シリアでの支援活動の概要(事業地:北西シリア・サルカン市)

シリア北西部を襲った地震は、同地域の水を含むインフラに広範な被害をもたらしました。多くの家族が避難し、仮設キャンプで生活しています。清潔な水と適切な衛生施設にアクセスできない状況で、仮設キャンプでは、利用可能なトイレ1つあたりの人数は150人以上と推定されていました。またこの地域はもともとすでに厳しい環境であり、トルコ・シリア大地震が状況をさらに悪化させました。そのため、ジェンではシリアの仮設キャンプで水衛生支援を実施しました。シリアの仮設キャンプで、手洗い場を備えたトイレやシャワー室を備えた衛生施設を10基建設しました。

支援により改善されること

1,800人以上の人びとがこれらの衛生施設による便益を受けられるようになり、人びとの暮らしの改善に繋がっています。

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新型コロナの影響を受けたシリア難民とホストコミュニティの人びとに向けた食糧支援事業

トルコのキリス県では、新型コロナの影響による失業や収入減に苦しむシリア難民とホストコミュニティの人びとに、契約先の店舗で食料品が購入できるバウチャーを配布し、生活を繋ぐ食糧支援を行っています。キリス県は、トルコの南東部に位置しており、シリアの国境に面しています。そのため、シリアから紛争や困窮した状況を逃れてキリス県に来た人々の多くは、難民として暮らしています。難民の方々に最低賃金よりも低い賃金での労働が強いられる中、新型コロナの影響を受けて更に生活が厳しくなりました。そんな中、少しでも彼らの生活を繋ぐ事に貢献できるよう、食料バウチャーを配布して、生活の安定を図ります。


緊急食糧支援を行うキリス県の町並み

食料バウチャーの配布

キリス県に住むシリア難民と脆弱な立場にあるホストコミュニティの人びとは、日々の生活を繋ぐために食糧を必要としています。そこで、本事業では、各家庭の好みや必要性に合わせて食料品を自ら調達できる食料バウチャーを約2,500世帯に配布し、脆弱な立場にある方々の生活をサポートします。今回配布する食料バウチャーはプリペイドカード式で、磁気カードに世帯人数に合わせて決められた金額をチャージして、各家庭に配布されます。期間内であれば何度でも利用することができ、アルコールやたばこ等は利用対象外になります。

シリア難民と脆弱なホストコミュニティの状況

トルコでは、2011年のシリア危機以降、370万人以上のシリア難民を受け入れてきました。急激な人口の増加により、国に負担がかかる中、難民の方々にとって就労ビザを得る事は大変難しく、労働が許されていない事がほとんどです。そんな中、一般的に、就労ビザを持たない難民の方々は、インフォーマルセクター(非公式的な形)で仕事をしており、最低賃金以下で働く事を強いられ、いつ仕事を失ってもおかしくない状況にあります。
新型コロナの感染拡大後、この地域に住む難民と、急激な難民の受け入れにより負担のかかったホストコミュニティの脆弱な人々は、職を失う、収入が減るなどで、生活が苦しくなり、食事の回数を減らしたり、栄養に偏りのある限られた食材を選択したりして、生活を繋いでいます。更に、トルコでは2021年より急激な物価の高騰が続いており、困窮した状況に追い打ちをかけています。


契約販売店で買い物をする女性

持続可能な状況をつくるために

将来的に生計を立てていけるようにすることを念頭に、まずは緊急支援として食糧に困る人びとの生活を繋ぐ支援を行います。モニタリングを含む現地での活動を通じて、中長期的な更なるニーズを把握し、生計や能力育成、心理社会的支援等を検討していきたいです。