2003年12月16日の大地震により、イラン南東部ケルマン州バム市の人口約12万人のうち、死者約43,200人、負傷者約30,000人、生存者ほぼ全員が避難生活を強いられるという甚大な被害が出ました。JENは中心地から離れ、支援の届いていなかったバラバット地区でテント生活を送る被災者を対象に、衛生状態改善のための支援を行いました。
震災後、JENはスタッフを現地に派遣し被災状況を調査。被害が大きいにもかかわらず支援の手が行き届いていなかったバラバット地区にはトイレとシャワーがほとんどなく、震災後一度もシャワーを浴びていない人も多い事が判明しました。この状況は、衛生状態の悪化をもたらすのみならず、今まで文化的な生活をしていた現地の人びとにとって大きなストレスとなり、心身の健康にも支障をきたす原因にもなっていました。また、いつ崩れてもおかしくないトイレやシャワーをやむを得ず使用している人びともおり、危険な状態も見られました。そこで、合計55個の簡易トイレと190個の簡易シャワーを設置をしました。
今回の地震では、一般の住居と同様に学校も大きな被害を受けており、バラバット地区の学校に使用できる校舎は1つも残っていませんでした。学校のトイレも例外ではなく、建物は残っていたとしてもその大半は酷く破損しており使用に耐える状態ではありませんでした。そこでJENは、9校の学校に対し50個のトイレの設置、他2校の上下水設備の整備を行いました。
バラバット地区で行った被災者からの聞き取り調査では、石鹸や洗剤、生理用品などの衛生用品や下着類に対するニーズも極めて高いことがわかりました。そこで、2000世帯へ石鹸やシャンプーなどの衛生用品と下着類など、当面の生活に必要な衛生キットを配布いたしました。
幼稚園、孤児院、避難所の子どもたち、日本の企業の協力によりぬいぐるみや文房具の配布などを行ないました。
トイレ・シャワーの設置にあたっては、できる限り地元住民から物資や労働力の提供を得て、住民の話し合いにより設置場所を決めてもらうなど、地域密着型の支援を行いました。また、物資の配布は、公平に配布するためにメイン通りから離れた場所も隈なく回って被災者を確認し、届きにくいところへの支援を心がけました。
「頂いた物資も大変ありがたいですが、それ以上に私たちにも手を差し伸べてくれたことを嬉しく思います。」
「あなた方の配布方法は他の団体と違い大変公平でしたので、近所の人びとの間でも評判でした。」
この支援が街の中心地から離れたバラバット地区の住民たちの心の支えにもなりました。
国名 | イラン・イスラム共和国( Islamic Republic of Iran ) |
首都 | テヘラン |
人口 | 7,473.3万人(2010年:イラン政府発表) |
面積 | 164万8,195km2 |
人種・民族 | ペルシャ人(他にアゼリ系トルコ人,クルド人,アラブ人等) |
言語 | ペルシャ語、トルコ語、クルド語 等 |
宗教 | イスラム教(主にシーア派)、キリスト教、ユダヤ教、ゾロアスター教 |