アフガニスタンでの支援活動について

お知らせ|2021.09.13

連日の報道でアフガニスタンの人びとを心配されている皆様も多いかと思います。ジェンの職員の安否を気遣ってくださるご連絡もいただき、ありがとうございます。お蔭様でジェンの職員は全員無事で、活動を再開しています。

タリバンのカブール制圧から約1カ月が経過し(9月13日原稿執筆時点) 、人道ニーズが急増しています。
ジェンの活動地であるナンガルハル県ジャララバード周辺は緊張状態ではあるものの、大きな事件や暴動が続発しているような状況ではないとのことです。カブール制圧の一報を受けた当初は、治安情勢が読み切れなかったため、即座に全員在宅勤務に切り替えましたが、9月5日からは、外出を伴う活動も含め、全面的に支援活動を再開しました。

町では、店舗も営業を再開していますが、物価が高騰し始めていて、既に価格が2倍以上になった品目もあります。アフガン政府の資産が凍結されたため、当初、銀行は営業を停止していました。8月25日からは、「週に200ドル」までという制限付きでATMを再開し、銀行の前には、連日長蛇の列ができています。前政権時代の公務員たちは事実上失業し、最後の給与もまだ支払われていないと言われています。公務員という安定した職に就いていた人びとも、困窮の淵に立たされているのです。
週に200ドルでは月に800ドルですから、会社や人道支援団体など、毎月数百万円~数千万円の資金を必要とする組織の活動資金としては、全く足りません。ジェンも、残念ながら、28名の職員への8月分の給与を支払うことができませんでした。それでも職員たちは、何とか銀行が通常営業を再開することを祈りつつ、支援活動を再開してくれました。「今こそ人道支援が必要で、それを待っている人びとがいる。続けられる限り人道支援を続ける」と言ってくれています。

4月から始まった米軍撤退に伴って、各地でタリバンが勢力を強める中、比較的余裕がある人びとは、8月に入ってから食料の買い置きなどをしていたそうです。しかし、蓄えがなく困窮する身近な人びとを支えるために提供したため、自らの蓄えも手薄になってきたと言います。元々余裕がなかった人びとの困窮度合いは増すばかりです。このままでは多くの人が食料を手にすることができず、命に係わる状態に陥ってしまうのは時間の問題です。
カブール制圧の翌日、ナンガルハル県では、現地で活動する支援団体に対し、国連OCHAを通してタリバンから「人道支援を継続して欲しい」という要請と共に、今後を話し合う会議が呼び掛けられました。生憎その日は、戒厳令下で皆外出できず、会議は延期されましたが、後日会議は開催され、28団体が参加しました。その会議の場では改めてタリバンから、人道支援の継続と、人道支援をする職員の安全が保証されました。その後、ジェンは個別にタリバンとの話し合いを持ち、元々実施を予定していた水・衛生環境改善支援と女子学習環境改善事業の継続が承認されたため、現地訪問を伴う活動を含む全ての活動を、9月5日から全面的に再開しました。会議の場では、ジェンは女子教育の必要性を訴え、人権侵害は絶対にあってはならないという強い姿勢で交渉にのぞみました。9月6日には、女子教育のための女性教員育成研修も予定通り実施しています。

9月6日に実施した女性教員育成研修の様子

9月6日に実施した女性教員育成研修の様子

ジェンだけでなく、国連を含む人道支援に携わる団体はみな、活動資金が引き出せないために人道支援が停止してしまうことに警鐘を鳴らしています。前政権時代にも必要とされていた人道支援が、タリバン政権になったからと言って不要になるはずもありません。なけなしの給与が止まり、コロナにも追い打ちをかけられて、困窮している人びとが急増しています。その上、人道支援が停止してしまったら、人びとの希望も打ち砕かれてしまいます。もしこのまま人道支援が停止してしまうと、困窮した人びとが食べるために仕方なく、望まない組織に働き口を求めることもあり得ます。アフガニスタンが再びテロの温床となってしまわないためにも、一刻も早く人びとが食べるものに困らない生活を取り戻すことが必要です。9月9日にUNDPは、「2022年の中頃までに、アフガニスタン人の97%が貧困に陥る」と発表しました。人びとの命を守るために、人道支援にご協力ください。

特定非営利活動法人ジェン

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