今回のミモザトークは、経済評論家の勝間和代さん。2008年から10年に渡って、Chabo!※を通じてJENを支えてくださっています。
※Chabo!( チャボ )は、Charity Book Program( チャリティ・ブック・プログラム )のこと。心ある著者たちの厚意により実現した印税寄付プログラムです。Chabo!に登録されている本が売れると、その本の著者の印税の20%が 特定非営利活動法人JENを通じて、世界中の難民・被災民の教育支援、自立支援に使われます。勝間さんはじめ21名の著者が参加。2017年5月末時点で、累計112,025,622円が寄付されています。
– Chabo!を始めたキッカケをお教えください。
勝間: 本を買える人って、世界から見るとすごく幸せな人だと思うんです。世界には、教育もなかなか十分に受けられず、ましてや本を自由に買えない人たちも沢山います。だから、その分を還元したいという発想です。
木山:JENの活動地に5カ国ほど、一緒に訪問していただきましたね。
勝間:はい。各国が抱える政治や社会構造の問題が大きく、個人だけではなくて、社会全体が自立する仕組みが必要だと感じました。その方法の1つとして、生産性の向上が大切だと考えています。技術の導入が遅れる事によって、先進国と発展途上国の生産性に、どんどん差が開いています。その差を埋める事が大切です。例えば、道路一つにしても、先進国だと技術の発展によって質のいい道路が、少ない人員で安く作れています。
さらに、生産性や技術力が向上すれば、人は更に高度な仕事に就く機会ができる。逆に生産性が低い仕事に就いてる限り絶対儲からない。すると国は貧しくなる。支援される側の人は、みんな口々に言ってますよ「一番ほしいのは技術だ」って。政治に外部が介入すると状況をかえって悪くすることのほうが多いと感じています。でも、技術支援などによって、豊かになれば奪い合いがだんだん少なくなってくる。
木山:生産性の向上は喜ばしいことですが、環境への負荷などに気をつけないと、ただでさえ厳しい状況の人びとが更なる自然災害に巻き込れるなどのマイナス面もでてくることは、私たち一人ひとりが注視していかないといけませんね。では、今一番求められている支援は何だと思いますか?
勝間:教育、情報共有、そしてそれが経済力につながるような支援を行っていくことしか無いと思っています。もし子どもたちが英語を理解できて、インターネット環境があれば、格段に収入が上がるというデータもあります。
木山:その教育に取り残される人びとは、格差が開き、更なる厳しさに直面するのではないでしょうか?
勝間:社会では、どうしても格差は生じるものです。でも『不公平という格差』は無くすことはできる。
木山:それは、教育と就業機会をつくることで解消されるとお考えなのですね。
勝間:はい。どの国もどうやって自立できるか知っているのはその国の国民です。その国民に対してエンパワメントするのが近道だと思うんです。その国の一人一人が力を活かす支援が求められているのではないでしょうか。
木山:まさにそう思います。紛争中の国では『兵士になるくらいしか働き口がない』という状況を変えていくことが大切だと思います。教育があれば、自ら仕事を作っていける可能性もありますね。本人たちの力が発揮される環境を整備することが求められていると思います。
(敬称略)
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勝間 和代 Kazuyo Katsuma
経済評論家、中央大学ビジネススクール客員教授。 大学在学中に当時最年少の19歳で会計士補の資格を取得。現在、株式会社監査と分析取締役、内閣府男女共同参画会議議員 等として活躍中。ウォール・ストリート・ジャーナル「世界の最も注目すべき女性50人」選出。著作多数、著作累計発行部数は500万部を超える。