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――『日本のNGO』というお話がありましたが、欧米諸国との違いはありますか?
黒田:日本だと、NGOの職員はボランティアで働いていると勘違いされているのでは?と感じることが多々あります。欧米だと、NGOで働くということはその分野での専門職として認識されています。欧米では『ボランティア』と言えば、市民が生活の中で普通にやっていることなんですよね。
木山:欧米諸国のNGOは、支援活動に加え、積極的に政策提言を行い、政府との対話を通じて仕組みを改善するなど、専門性も高いと思います。また、個人のキャリアにとっても、NGO→政府→シンクタンク→NGO→国連機関→アカデミア…のように、NGOで働くことで専門性が高まるこちが認識される職業となっていると思います。
黒田:そうですね。紛争や自然災害が頻発し、支援を必要としている人が増えている中で、無宗教、非武装の日本のNGOができることは多いはずなのに、日本国内の、NGOに対する誤解があることは非常にもったいないことですよね。
――どのように、NGOと、民間・政府などが関わっていけばいいのでしょうか。
木山:企業が市場開拓のために新興国に進出したり、地方自治体が国際交流を行うなど、途上国に関わるアクターも多様になり、みなさんそれぞれの場所で活躍されています。その時に、NGOとも連携ができる部分があるのでは、と想いを巡らせてほしいですね。
黒木:一方で、少しずつですが、NGOに対する期待感も持っていただけているな、と感じることもあります。新しい発想とか、やったことのない方法をチャレンジしてくことが、NGOの役割として求められています。人道支援の分野でも高まる人道ニーズに対して、国連や各国政府など様々なドナーが拠出する支援リソースが金銭的にも追いついていない状況が生まれています。
人道支援の現場では、これまでのような支援量を増やしてどんと投入だけでは解決できない状況にあり、まったなしの人道ニーズに応えるには、これまでになかった発想で、企業やNGOが持つクリエイティビティや化学反応によって、お金をかけずに、人道支援のインパクトを生み出せるアイデア、チャレンジが求められています。
民間企業とNGOの連携によるイノベーションを起こそうという動きが盛んになってきています。でもこれってそんな簡単な話ではありません。NGOで働く職員1人1人が、地道に日々向き合う現場でのニーズの吸い上げと改善の積み重ねの中で、「ここに応えらえるようにするにはどうしたらいいのだろう?」と常にアンテナを張り、思考の枠を越えよう努めていなければ実現しないと思います。
企業の方々とお話する中で、現場の小さなニーズを普遍化して、こんなものが欲しいんだよね、という提案をNGOに求めていると感じています。鋭い視点で目の前の事象をとらえ、新しい発想、アイデアにつなげていけるよう、磨いていきたいです。
木山:そうですね!いろんな知見が入って、適切で新しい仕組みを作っていけたらいいですよね。
対談はまだまだ続きます。
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