(写真:左から/木山啓子、黒田由貴子、黒木明日丘)
JEN代表理事の木山啓子が、様々な分野で活躍される方を訪ねて、対談をさせていただく新企画、「Mimosa Talk -Talk for Peace, Action with Smile-」。
「ミモザトーク」の由来…春になると、色鮮やかで、かわいらしい黄色の花を咲かせる、ミモザ。花言葉は「友情」です。JENのロゴマークにも少し似た、この花をこのコーナーの由来としました。これからの人道支援は、色々な分野のみなさんと垣根を超えて、「友情」をはぐくみながら、新しい時代をつくっていく時。そんな思いをこめて、ミモザトーク、スタートします!
第1回目の今回は、株式会社ピープルフォーカス・コンサルティング取締役で、JEN代表理事の黒田由貴子と、JEN事務局長代行に着任したばかりの黒木明日丘とのミモザトーク。新たな気持ちでスタートするこれからのJENについて、3人が鼎談します。
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−−− 改めて今、JENが目指すものはどんなものでしょうか。
黒田: JENが目指す「人びとの自立を支える」ことは普遍的な事。でも、環境は日々変化します。私たちはその中で、より効果のある方法を探し続けないといけないですよね。
黒木: 加えて社会からのNGOに対する期待値が高まっていると感じています。人道支援のプロという意識を持って、それにきちんと答えられるような組織にしていきたいです。
木山: どんなに素晴らしいプロジェクトや組織でも、改善の余地はいつもあると思います。さらに、現在は難民、被災者を取り巻く環境が悪化しており、人びとのレジリエンス(回復する力)を高めていくような支援がこれまで以上に必要とされていると感じています。
黒田: 昨年5月に国連で採択された『持続可能な開発目標(SDGs)』がありますが、そのアジェンダ『誰も置き去りにしない(leaving no one behind)*』の標語がとても印象的でした。世界をマクロ的な視点で見ると、貧困率が何割減った、一人当たりGDPが上がった等、数値の改善率だけ見て喜んでしまいがちですが、そこには取り残されている人びとがいる、そこに目を向けることが大切だと、世界全体が考えるようになってきたことが印象的でした。
(*国際社会が2030年までに貧困を撲滅し、持続可能な開発を実現するという目標)
木山: 本当にそうですね。ワールド・ヒューマニタリアン・サミット(WHS)でも「leave no one behind」は項目の1つで、私たちもそれに向けより貢献していかないといけないと思っています。
−−−JENの目指してきたものに近しいと思いますが。
黒田:そうですね。それを世界中の人びとが言い始めたことは、より色々な所と協力できること。
木山:JENは「自立を支える」と言い続けてきましたが、今回のWHSでも、目標として『自立』がはっきりと入った。とうとう世界中の人と手を取り合って、その目標を追求できるようになってきたと思いました。
−−−「自立」とは、何でしょうか。
黒田: 自立と言っても、様々な方法があります。JENは、「魚ではなく、釣り竿の作り方を身に付けるサポートをする」の精神で活動をしてきました。
木山: 先日、児童養護施設で働く方から「小善は大悪に通じる、大善は非情に似る」という言葉を聞きました。親切が過ぎると本人にとって良くない結果をもたらす。一見厳しく突き放している様に見えることも、結果的には、一人ひとりの自立、つまり、本当の意味での幸せをサポートする、そういう意味だと受け取りました。難しいことだと感じるかもしれませんが、JENの活動の本来の目的、つまり「一人ひとりが幸せだと感じながら生きていけるようにサポートする」ことが大切だと考えています。
−−−なぜ今が事務局長の交代の時期だったのでしょうか。
黒田: 時代の変化と共に、NGOも他のセクターとの連携がとても重要になってきています。木山さんにはますます他のセクターとの架け橋となってほしいと思っています。
木山: 世界が大きく動いている、こんな時だからこそ、黒木さんをはじめ次の世代に新しい視点を入れてもらえたらと願っています。
黒木: 頑張ります。今、JENだけでなく日本のNGO全体にとって、とてもチャレンジングな時がきていると思います。事務局長として自団体の改革をしながら、同NGOセクター、また他セクターとの関係をより強化し、日本のNGOをいかに発展させていくのか、ということが問われていると責任を感じています。