ジャパン・プラットフォーム:アフガニスタン/パキスタンワーキンググループ緊急声明
アフガニスタンで過去最悪規模の避難民が発生しています
アフガニスタン北部の主要都市であるクンドゥスがタリバンに奪取されたニュースが世界中で伝えられています。今年初めから国際治安部隊(ISAF)が撤退し始め、それに伴いタリバン等の反政府グループの活動も活発化しており、国内避難民も過去最悪のレベルに達しています。クンドゥズ事件を受け、国内避難民は今年だけで13万人を超えており、International Displacement Monitoring Center等の試算によると国内避難民は総計で100万人に達すると見られています。アフガン国内の人道危機は更なる悪化を辿っていることは明白です。
クンドゥズ制圧事件
クンドゥズ州の州都であるクンドゥズでは、先月28日に反政府勢力であるタリバンの襲撃を受け、都市の大部分が制圧されました。10月1日にアフガニスタン国軍が奪還しましが、タリバン司令官を含む受刑者数百人が脱走したとされる中、大勢の市民が避難を余儀なくされています。こうした事態が起きたのは2001年のタリバン政権崩壊後初めてとされています。
クンドゥズとは
クンドゥズはウズベキスタン等の近隣諸国への重要な交易ルートであり、こういった主要都市を含むアフガン国土の半分以上でタリバンの影響が拡大していると見られています。上記の地図で色が付いている部分はタリバンの影響がある地域です。また、「イスラム国」などの活動も活発化しており、政府との和平交渉にも多大な影響を及ぼしています。
現地の状況と緊急メッセージ
現地からの情報によると、クンドゥズからバグラン州など他の地域への道路は一時タリバンによって封鎖され、市内の店、国連やNGOなどの支援団体のオフィス、政府機関のオフィス等全てが閉鎖されており、事態が長期化すれば市内に取り残された人々の安全や生活が更に悪化するとみられています。中には政府に状況を通報したとタリバンから疑われた一般市民が処刑されたという報告もあります。10月1日にアフガニスタン政府による都市奪還がされたものの、市民に紛れたタリバンを区別することは容易ではなく、「人間の盾」として一般市民が利用されてしまっている状況において、更なる市民の犠牲が危惧されます。国連も一般市民の命を守るよう、タリバン及びアフガニスタン政府に対しての声明を出しています。
多くの避難民がクンドゥズ州内の他地域やタカール州に避難しており、その大半は着の身着のままで殺戮から逃れています。現地は冬場を迎えると最低気温が一桁台になる地域であるため、事態が長引くと最悪の場合凍死してしまう避難民も多くいるとみられ、特に食料、医療や生活必需品、越冬支援など、人命を守る為の緊急的な支援が必要です。
ジャパン・プラットフォーム:アフガニスタン/パキスタンワーキンググループでは2010年から社会基盤の整備、教育・保健の強化、平和構築等の分野で50億円以上の支援を実施してきましたが、アフガンの慢性的な人道危機及び突発的な戦闘によって発生している人道危機に対処することが重要と考えています。アフガニスタンの人々は平和を望み、家族を大切にし、人間として尊厳のある生活を望んでいます。しかし、生活が困難になるにつれ、生きてゆくためにやむなく反政府勢力に従わざるを得ない人も出てくるかもしれません。それは現在のアフガニスタンの慢性的な危機を増幅させ、複雑な人道危機を生み出します。こうした事態を防ぐためにも、日本が積極的に提唱している「人間の安全保障」を人道支援という形で是非アフガンの避難民の人々に届けたく、この緊急声明文を発信します。
最後になりましたが、米軍による国境なき医師団の病院に対する空爆を強く非難します。病院や医療従事者に対する攻撃は明らかな国際人道法違反です。
本緊急支援に対する皆様のご理解とご支援をお願い申し上げます。
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ジャパン・プラットフォーム:アフガニスタン/パキスタンワーキンググループ
AAR Japan (難民を助ける会)
ADRA Japan、
CWS Japan
JEN
日本国際民間協力会(NICCO)