「津波で流されちまったから、孫のためにつくってやんだ――」
もうすぐ訪れる3月のひな祭りを前に、JENは石巻各地の仮設住宅でひな人形づくりを行っています。震災後の生活ではなかなか四季の行事を感じることが少なくなっていたことから、JENでは季節感を吹き込む活動に取り組んでいます。
下の写真は、2月のある仮設住宅集会所での1コマです。
ボランティアの皆さんにご協力いただき、型紙や色紙、ひな人形のパーツとなる材料を準備し、いざ、ひな人形づくりに挑戦です。作り方を教えてくれる先生は、地元石巻の方たち。
仮設住宅では今、地元の皆さんが教え手となって、仮設住宅に暮らす方たちと一緒にものづくりを楽しむ輪が広がりはじめています。
細かい作業は先生たちに教わりながら、温かいお茶を囲んで皆さん楽しそうに作業をしていきます。気温が氷点下まで冷え込む日には水道管が凍結することもあり、仮設住宅の抱える問題は尽きません。初めて顔を合わせる方どうしでは、自己紹介から始まることも多く見受けられます。
集会所が人と人をつなぎ、JENが取り組むお茶っこ(お茶飲み)会やもの作り活動を通して、やがてコミュニティが一歩ずつ形成されていくのです。
時間が過ぎるにつれ、ふとご自身のことをお話になられる方もいます。辛い思いを抱えながらも、津波でひな人形を流された孫のために作る方や、亡くなった孫へ思いを込めて作る方がいます。
それぞれに息を吹き込まれた表情豊かなひな人形は、それぞれの仮設住宅でまもなく震災後初めての桃の節句を迎えます。
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