前回に引き続き、今回も男の介護教室の話題です。
宮城県石巻市中心街から車で1時間、そこからさらにフェリーで20分。牡鹿半島の西端に位置する網地島(あじしま)は、宮城県随一の透明度をほこるビーチと豊かな漁場をもつ人口400人の島です。
【船着き場から会場まで移動するスタッフ】
かつては、遠洋漁業の基地としてにぎわった島の現在の高齢化率は70%です。
人生最後のときを住み慣れた島で暮らしたい人が多く、介護施設等の社会資源が限られた島では、住民同士の助け合いが鍵となります。
島の男性の多くの生き甲斐と人間関係、そして趣味は「仕事」に集約されています。裏をかえせば思うように動けなくなったとき、漁に出られなくなったときに、孤立してしまう傾向があります。
「もしものとき」にどうしたらよいのか知識があること、相談できるひと、助け合う仲間がいること。そして、そうして支え合う関係が、普段のときから男性の人生を豊かにしていくことが重要であると、地域包括ケアシステムの構築の一端を担う網小医院と、牡鹿地域包括支援センターが考ました。
そこで、JENのパートナー「男の介護教室」とともに、網地島ではじめての男の介護教室を2017年6月22日に開催しました。
【教室前の打ち合わせ】
島の端と端にあるふたつの集落の真ん中に建てられたかつての小学校をリフォームした網小医院の集会室が今回の男の介護教室の会場です。
牡鹿半島から、食材と調理器具をもってわたった男の介護教室のスタッフが朝早くから準備した会場に、60代から90代の男性が到着します。
栄養士による講義に続き、早速調理開始。缶詰や冷凍食品を使いながら、栄養バランスの良い料理を男性の参加者がつくります。皆さん、包丁さばきがとても鮮やか。
島では中学校を卒業するとほとんどの男子が遠洋漁業の船にのり、最初の2年間は厨房で大人数の料理をつくっていたとのこと。あっという間に料理ができあがり、スタッフと参加者の方々の間で、船に乗っていた頃の話、島の生活などの話が盛り上がります。
食事のあとは、河瀬歯科医師による、歯と健康のお話し。口の健康を保つことがいかに健康長寿にとって大事なのかを、ときどき会場から笑いをとりながら、お話をされました。
あっという間の3時間。
参加者の方々からは
「昔の青年団みたいで楽しかった」
「みんなで食べるとおいしい」
「普段話さない人とも話せた」
次回も来てくださいますか、と聞いたら、大半の方が手をあげてくださいました。
政府がすすめる「地域包括ケアシステム」は住み慣れた地域で、最後のときまで幸せに暮らすビジョンを掲げ、そこで地域の力である「互助」が重要な要素です。
網地島の男の介護教室の開催は、これからの網地島、そして高齢化がすすむ日本各地の地域のありように対して重要な示唆を与えてくれました。
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