今「こども食堂」が全国でブームです。
栄養バランスの整った食事を毎日得られない、習い事や塾に通えない、進学をあきらめなければならない・・6人にひとりの子どもが貧困にあるなか、日々の生活と未来への選択肢を閉ざされる現状をなんとかしたいと思う方々が多いなかでの行動力の現れでしょう。
【こどもたちもお料理を手伝います】
一方で、「こどもの貧困」の原因に目を向けると、構造的な問題が見えてきます。「こどもの貧困」の多くは「世帯の貧困」であり、世帯単位で見ていくと、全国世のひとり親世帯の大半(母子世帯で8割、父子世帯で9割)が仕事をしているにもかかわらず、貧困率が5割と突出しています。
JENがこども食堂2か所を支援する岩手県の調査では、母子家庭の母の就労収入は 10 万円以上 15 万円未満が 40.7%と最も多くなっており、東日本大震災の被害がとりわけ甚大だった沿岸部の収入はさらに低くなっています。
今の社会のしくみが「親がふたりいる家庭の男性働き手モデル」を前提としており、ひとり親の場合他に頼れる人がいなければ、残業ができず、正規の職に就くことは難しい、女性が就く仕事の多くは賃金が低い、他の先進国と比べて、政策におけるひとり親支援が手薄いなどの課題が山積しています。
【栄養のバランスを考えたメニューです】
子どもの未来は社会の未来、被災地では復興の未来です。
社会的、政策的課題の根本から正していくことが必要ですが、草の根からもできることがあります。ひとつは子どもやひとり親など孤立しがちな方々を地域で包摂する民間の仕組みをつくること。そして、様々な公・民の支援や制度につなげていくことです。JENは、こうした目標を念頭に「子ども」だけを対象とした場ではなく、子どもと、主にひとり親世帯を対象とした次の活動を地元のパートナー団体を通して支援しています。
1.インクルこども食堂(盛岡)
盛岡のNPO、インクルいわての実施を支援しています。先行事例の視察を含む事業計画づくり支援、2016年1月の開設から12月までの月次開催の資金的支援、外部評価を支援してきました。12月でJENの支援は終了しましたが、行政や民間の資金を得て、現在は岩手県でも有名なこども食堂のひとつとして活動しています。
JENの1年間の支援の集大成として、3/11にはシンポジウムを開催しました。外部評価報告書は近日JENのWEBサイトで公開予定です。
【インクルこども食堂(©インクルいわて・撮影 古里裕美)】
2.しおかぜキッチン(宮古市)
宮古社会福祉協議会が2016年12月から毎月1回開催しています。ひとり親世帯を主な対象としているインクルいわてのこども食堂をモデルとし、盛岡や宮古で研修を重ねつつ、地域の力を活かすしくみをつくりあげています。JENは2017年も「しおかぜキッチン」の支援を継続します。
【おいしいシチューのできあがり】
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△
【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△