「世界津波の日」である、11月5日の13:00。
岩手県釜石市では、防災無線からサイレンが鳴り響き「これは訓練です・・」と避難訓練を呼びかけます。
豊かな海に面し、鉄鋼業の世界遺産でも有名な釜石市。
東日本大震災では、すぐれた防災教育を受けた子どもたちが率先避難者となり、自分自身と多くの地域の人びとを救った一方で、行方不明の方をあわせて1,040人の尊い命が失われました。
【美しい釜石市・鵜住居(うのすまい)地区の海。防潮堤からの眺め】
【港の前にある津波避難路】
二度とこのような悲劇が繰り返されることのないように釜石市では「震災検証室」を設け、釜石市内の各地区の人びとが震災時にとった避難行動やその前の防災訓練等を詳細に調査し、防災政策への反映や「東日本大震災 釜石市教訓集」を全戸配布するなど、市民への啓発に努めています。
東日本大震災 釜石市教訓集
冒頭の「世界津波の日」にあわせて、釜石市と、市内で活躍する特定非営利活動法人カリタス釜石の主催で「男女(みんな) の視点を取り入れ実践する地域防災力UP講座」が開催され、JENの東北事業統括の高橋聖子(防災士)が講師として伺いました。
【講座参加のみなさん】
前半では、「要援護者」といわれる、災害の被害から逃げ遅れがちな方への支援訓練も含めた男女(みんな)の力合わせによる各地の避難訓練の事例や、人間関係が希薄になりがちな都市部のマンションでさまざまな防災活動と地域づくりを兼ねた住民自身の手による事例などを紹介し、後半では、女性や高齢者、障がいをもった方、子ども、ペット連れ避難の方等の視点を踏まえた、避難所開設図上訓練を参加者全員で行いました。
【図上訓練実施中】
30人ほどの参加者のみなさんは釜石市役所の方、地域のリーダーの方々等、男女約半々でした。どのようにしたら、みんなが率先避難者となる地域をつくれるのか、「みんな=多様な人々」の命と尊厳を守る避難所を設営できるのか、グルーワークのなかで、東日本大震災のご経験をした参加者の方々が、重要な視点を提供してくださいました。
釜石市のみなさんの未来の命を守る取り組みに心から敬服致します。
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