政府の「復興の集中期間」は2016年3月末で終了しますが、被災地では復興は未だ途上であり、震災後に加速した人口流出も相まって、今後長きにわたって地域が維持できるのか、大きな不安を感じている方々も多くいらっしゃいます。
3月16日に宮城県仙台市で開催された「防災未来フォーラム2016」では、被災地で地域おこしに取り組む方々が次のようなメッセージを発していました。
「訪れた人の中には『今頃来てごめんなさい』という方もいる。だけど、人々が被災地に訪れ続ける、ということが私たちの大きな支えになっている。」
「『被災した場所を見に来ることに罪悪感を感じる』という声を聞くが、ここにきて、災害の恐ろしさと人々の復興の力強さを学んでほしい。」
「被災地に足を運んでほしい。都会の人の第二の故郷になりたい。」
岩手県で最も大きな被害が出た自治体のひとつ、陸前高田市は2016年2月に「陸前高田市人口ビジョン及びまち・ひと・しごと総合戦略(案)」を発表しました。そこでは、陸前高田市を好きになり、足を運んでくれる方々、「陸前高田市民」ならぬ「陸前高田思民」を増やしていくビジョンが掲げられています。
東北沿岸では未曾有の災害を乗り越える強さがあります。そして美味しいものも待っています。今でも被災地に向かう復興ツアーは旅行会社が運営しているもの、NPOが運営しているものなどたくさんあります。
被災地に足を運びましょう!
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震災から間もなく5年。
未だ震災は地域に爪痕を残していますが、被災地では様々な取り組みが行われており、JENは現在被災地で活動する4団体とパートナーシップを組んで、復興から取り残されがちな方々に対する先進的な取り組みを資金面・技術面で支援しています。
岩手県でJENは、地元のひとり親支援の専門NPO「インクルいわて」をパートナーとして、盛岡市の「こども食堂」を2016年1月のオープンから支援しています。
日本のひとり親の8割以上が働いているにもかかわらず半数以上は貧困状態にあり、またひとり親のお母さん、お父さんは時間に追われて地域から孤立しがちです。盛岡には、震災後に沿岸部から転居し、そこで生活を築きつつあるひとり親家庭の方々もいらっしゃいます。
インクルいわてのこども食堂は、ひとり親とそのこどもたちが孤立しがちな現状を変えるために、食事の提供にとどまらず親への情報提供や相談対応、こどもたちへの学習支援に加え、自治体との連携、地域の個人や企業に食材をはじめとした様々な支援の受付を行っています。
今後被災した沿岸部にもこども食堂を展開していく予定です。
【栄養士のスタッフがバランスを考えて献立をつくります。食材の多くが地元の農家やNPOから寄付されました】
【日中はデイケアとしても利用されている私設図書館が無償でこども食堂の場所を提供してくれています。栄養士の大久保さん(右)、相談員の栃沢さん(左)がボランティアの手を借りながら食事を用意しました】
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2015年は、各地で復興公営住宅の入居がはじまり、公立病院や魚市場の再建、商店街の完成、鉄道の全線運転再開など、新たなスタートと、生活の利便性が戻ってきた年でもありました。
また、復興・復旧だけでなく、防災・災害対策として津波避難タワーが完成しました。
2016年も、復興公営住宅や公立病院の完成予定が続き、震災遺構の保存に向けた工事調査が始まり、そして、今なお続く行方不明者の捜索。
先の国勢調査で、福島県では福島第一原発事故の避難区域が100%、宮城県では女川町の37.0%、岩手県では大槌町の23.2%が減少率ワーストとなっています。
沿岸部の人口減少、内陸部や都市部の人口増加は、震災によるものとともに、以前からあったものが震災によって加速した地域の課題でもあります。
【災害対策庁舎と盛り土(南三陸町):
何もなくなってしまった災害対策庁舎の周りも今は盛り土に囲まれています】
【津波避難タワー(石巻市):浸水域外への避難が遅れた場合の津波一時避難場所】
【新内海橋工事(石巻市):被災した橋を新たに架け替える工事】
震災後、5年目に入る2016年もJENは引き続き被災地の方々と一緒に復興に向けた活動に全力で取り組んで参ります。
1月からはひとり親家庭の支援専門団体とのパートナーシップのもと、新たな活動も加わります。次号の支援速報でお知らせいたします。
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今年10月から、JENの新たな支援の形として、岩手県、宮城県、福島県で長期的な課題解決のために地域で活動する団体等とのパートナーシップによる支援を行っています。
今回はパートナーのひとつ、岩手県陸前高田市の「一般社団法人SAVE TAKATA」をご紹介します。
SAVE TAKATAは、2011.3.11 東日本大震災発災時、東京で働いていた佐々木信秋代表(陸前高田市出身)が、東京にいる同郷の仲間たちと、「帰って自分たちの目で確認しよう!」と車に積めるだけ物資を積み、ホームページを立ち上げ情報をシェアした緊急期のボランティア活動がきっかけとなり、設立されました。
震災前から人口減少傾向にあった陸前高田市は、震災によって若い世代が地域を去り、さらに少子高齢化が進みました。
現在、SAVE TAKATAはリンゴの加工品生産と販売を通じた農家の支援、農業体験を含む若年無業者の自立支援、情報技術(IT)の若者へのトレーニング、学生ボランティアの活動サポートを軸とし、「就農者 + 就労者 + 定住者 = 人の創出」という視点から、地域課題(高齢化、若者流出)、社会的課題(若年無業者)の解決をめざして活動しています。
【SAVE TAKATAのみなさん】
(©SAVE TAKATA)
【SAVE TAKATA農業の支援】
(©SAVE TAKATA)
SAVE TAKATAは、若い世代の人たちが希望を持って暮らしていける地域づくりのために、JENとのパートナーシップの下、今までの活動をさらに強化するべく、同じように人口減少に直面しながら地域の人々の力でまちづくりを進めた日本の他の地域の視察などを行い、新規事業の案を詰めています。これからも随時最新情報を伝えて参ります。
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日本の過去の経験から、「災害後3~4年たったころから特につらくなった」という人が多くなるといわれ、様々な心理的な研究もそれを裏付けています。
被災地を歩くと復興はまだまだ進んでいないことを実感します。街の中心の復旧は終わっていても、中心街から一歩出ると、津波が襲った地域では未だブルドーザーが唸りをあげています。
【釜石市郊外の海岸沿いの様子。かつてここには暮らしの営みがありました。】
ハード面の復興に比べ、ソフト面の復興は目に見えにくいだけに見過ごされがちです。震災から時が経つにつれて若い世代の流出、介護問題、貧困問題等、震災前からあった課題が深刻になっています。
そこで、JENは2015年10月より、岩手県、宮城県、福島県での長期的な課題解決のために、従来のJENによる直接支援から、地域で活動する団体等とのパートナーシップによる支援にシフトしました。パートナーシップにおいては、事業の実施に必要な活動費を提供するだけでなく、事業づくりに際し一緒に考え、必要に応じてパートナー団体の実施力を強化するカスタムメイドの研修やネットワーク作りをJENが担います。
JENの新たな取り組みについてはこちら。
石巻市では、地元の団体、「男の介護教室」とパートナーシップを組んでいます。多くのシニアの夫婦が震災後に他の家族と別れて暮らさざるを得なくなったなか、シニア世代の男性の介護の苦労と孤立を和らげ、介護する人、される人の生活の質を高めようと、医療と介護の専門家が行う男性向けの介護教室を実施しています。
【パートナー団体のひとつ「男の介護教室」(石巻市):
JENのファシリテーションによる事業計画策定ワークショップの様子】
これからも各地のパートナー団体との活動を支援速報にて報告して参ります。どうぞよろしくお願い致します。
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