昨年11月の第4週にヨルダンでは大雨が降りました。ザータリ難民キャンプは水はけが非常に悪く、少しの雨でもテントや仮設住宅が浸水しやすいため、キャンプに住むシリア難民にとって雨は多くの問題を引き起こします。
そんな中でも、一昨年はテントに住んでいた難民のほとんどが、昨年には地面から持ち上げられた仮設住宅へ入居することができていたため、雨風をしのげることができ、当時と比べるとキャンプでの現状は飛躍的に改善されました。
また、国連機関や他団体が協働で道路の舗装事業を行ったことにより、主要道路の冠水が避けられ、雨期の移動がそこまで大変ではなくなりました。
さらに、排水溝などの設置と基本的な雨水排水システムが作られたため、キャンプの地区内に溜まってしまっていた雨水がキャンプの外に流れるような仕組みになり、雨による被害は減ったようにみられます。
しかし、1、2、11、12区など古い地区で、ザータリ難民キャンプ全体でみると低地に位置するキャンプの南西部は、地面の高低の差などから雨水排水システムがあまりうまく機能しなかったり、他の地区で見られるような比較的水はけの良い砂利の地面ではなく、泥の地面であることから、未だに浸水や冠水のリスクが高いのが現状です。
悪いケースでは、仮設住宅の前に30センチ以上の水たまりができてしまい、子どもたちが外へ出られないため、学校に登校できないといった事態も招きます。また、垂れ流されている排水が混じった雨水が学校の校庭を冠水させ、深刻な衛生リスクを及ぼすこともあります。
そのような課題を前に、JENは雨の緊急時に排水活動を速やかに行うため、排水トラックを管理したり、シリア難民のコミュニティと協働で排水の必要な地域をいち早く把握したりするためのチームを発足しました。
普段は水衛生に取り組む彼らですが、雨が降った時は就業時間外でもキャンプに残り、トラックを浸水地域に誘導して排水活動を行うとともに、電線が冠水し漏電などのリスクがある場合は難民のコミュニティリーダーと協働で情報の伝達などに取り組みました。雨がひどい日などは、午前2時や3時までキャンプ内に残り、緊急事態に対応することもありました。
特に学校が浸水すると、次の日に子どもたちが安全面と衛生面のリスクから学校に登校できなくなる可能性が出てきます。そのため、JENの排水チームは学校の排水を最優先させ、子どもたちが安心して勉強できる環境を整備することに努めました。
このような不断の努力により、子どもたちや先生が大きな問題もなく普段通り学校に通学することができ、家族も安全で快適な生活を継続的に送ることができました。
難民キャンプでは、雨という小さな変化でも、そこに住む住人にとっては大きな課題に繋がることが頻繁に起きます。
これからも継続して安全かつ快適なヨルダンでの避難生活を送れるように、2015年もJENはザータリキャンプとホストコミュニティにおいて様々なプロジェクトを行っていきます。
2014年はご支援いただき本当にありがとうございました。今年もよりたくさんの情報を現場から届けられるよう頑張ります!
【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】