JENのスタッフとなって働きはじめて2週間足らずですが、ザータリ難民キャンプでの活動を始めて10か月が経っています。ここで活動するのは非常に興味深いです。
このキャンプは、当初の「シリア難民の人々を一時的に受け入れるための緊急シェルター」としての役割から、「シリア難民の人々が再起を図るための住む場所」という位置づけに急激に移行しはじめています。難民の人々は、日に日に、キャンプ中にある自分たちの住処をより快適に住みやすくなるよう工夫を重ねています。多くの改善がなされてはいますが、まだまだ多くの困難や不都合な点、課題が残されています。
難民の人々が自ら問題を解決していけるように、彼らの能力強化を図ったり、仕組みを変えていこうとするJENの支援方法を学ぶことはとても楽しいです。JENは活動を進めていく中で、様々なレベルで様々な人々とのコラボレーションを図っています。こうした協働による活動は、みんなで一丸となって問題に取り組んでいることを実感させるものであり、大変有意義です。
コミュニティに情報を普及させるために、JENがどのようにコミュニティのメンバーを巻き込み、能力強化を図っていくのか、1つの例を取り上げたいと思います。
衛生促進のセッションをJENスタッフ自らがコミュニティの住民に対して行うのではなく、コミュニティのメンバーに知識を伝達して、そのメンバーから住民に対してセッションを行うという形に、方法を変えました。
ザータリ難民キャンプにあるJENチームのリーダーの一人であり、保健分野でのアカデミックなバックグラウンドがあるアマールは、39名のシリア難民を対象に、彼女たちがボランティアとして他の人々に対して衛生促進セッションを提供できるよう、衛生促進員のトレーニングを行いました。JENが衛生促進員の人々に最初にお願いしたのは、彼らのコミュニティにおける食品の安全性に関する知識・情報の普及でした。
私は、アマールが食品の安全性に関する衛生セッションを衛生促進員に対して行っているところを何度か目にしました。そのセッションはとても楽しいものでした。アマールは普段静かでおとなしいのですが、セッションでの彼女はとても生き生きとして、活動的で、目を輝かせながらトレーニングセッションを行っていました。衛生促進員にとってよく知られていない情報や、特によく理解を深めてほしい内容であるときには、その都度、活発な議論を交わせるように努めていました。
セッションが終わる頃、私は、なぜ無償であるにも関わらず、衛生促進員として彼女たちが、衛生に関する知識を普及させる活動をしたいと思っているのか、その理由を知りたいと思いました。そこで、私は彼女たちに、活動に協力してもらえることに感謝を述べつつ、その理由を尋ねました。ある女性は、他の人と何かするのが楽しく、誰かの役に立てることがうれしいと話してくれました。別の女性は、かつて看護師として働いていた経験があり、衛生知識を伝えることはとても大切なことで、他の人々のために彼女の知識や経験を活かしたいと話してくれました。
またこの2週間で、JENがどのようにキャンプ内でインフラを整備しようとしているのか目の当たりにしました。
例えば、詰まりかけている下水のパイプの処理を行う場面に遭遇したときのことです。そのパイプは、下水を公共トイレから汚水タンクに流すために設置されていましたが、適切な傾斜がなかったことが、詰まりの原因であることがわかりました。このような場合、穴を掘ってパイプを取り出し、正しい位置に埋めなおす作業が必要となります。その現場近くに住んでいる地域の人々は、その作業を見て、環境改善のために作業が必要であることを理解し、納得することができていました。
【 詰まりかけた下水パイプの設置作業】
他にも、興味深く感じたJENの活動があります。キャンプで活動するJENスタッフとブレーンストーミングしたときのことです。この時の議題は、普段はなかなか私たちの活動に参加してくれない難民の人々をいかに活動に巻き込むかということでした。
セッションの中で、まず私たちはなぜ人々がいつもキャンプで行うプログラムに参加してくれないのかその理由を話し合いました。それから、参加しない人々がどのような人か分類し、そうした人たちがより活動に参加しやすい内容となるプログラムを分類ごとに考えていくことにしました。こうしたセッションはとても楽しくわくわくします!
【 ザータリ難民キャンプでのブレーンストーミングのセッションの様子】
アン・ラパン(プログラムオフィサー)
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