ヨルダンで4番目に大きい『街』といわれるザータリ難民キャンプでは、人々が普通に日常生活を送ることができるように、UNHCRやUNICEFを含む様々な支援団体により、水・電気などが無償で提供されています。人口約86000人のこのキャンプでは、そのような電気代や水などに供給にかかる光熱費が、支援の大きな割合を占めています。
前回の支援速報に書いた通り、キャンプ内の水の供給は、支援団体により調整された水トラックで、キャンプの各箇所にある公共の水タンクに運ばれます。電気はキャンプ内にある外灯やスーパーマーケットなどの主なサービスだけにつながれています。しかし、そうした外灯などから、難民の人々が戸別に電線を配線してしまうケースが後を立ちません。
【外灯から戸別に繋がれたいくつもの電線】
このような違法の接続により、キャンプ内の電気代は月々50万ドル(約5千万円)にも上り、キャンプ運営に必要な支援の大きな割合を占めています。特に、この電気の使用量の半分以上がキャンプのごく一部、市場やお店の集まるシャンゼリゼ通りで使われています。
シャンゼリゼ通りには飲食店や衣服、日用品などを売っている約60の店舗が集まり、いつも人でにぎわっています。ここでは、食品や雑貨をはじめ、洗濯機、テレビ、扇風機などの電化製品も買う事ができます。夏になり、日中の気温が35度以上に上がるザータリでは、エアコンを持っているお宅もあるという事です。シャンゼリゼで見たゲームセンターでは、子どもたちが数台あるパソコンでゲームをして遊んでいました。このような発展の中、ザータリキャンプ内の電気の使用量が非常に高いのも不思議ではありません。
【シャンゼリゼ通りにある電化製品のお店】
【ゲームセンターでは子どもたちがパソコンのゲームを楽しんでいました】
キャンプの長期化とキャンプ運営に要するコストを考えると、早急にコスト回収に焦点を当てた援助戦略の採用を検討する必要があります。
そのため支援も、個々に消費した電気や水などの料金を、店主など、払える人が支払うというシステムを導入する方向に変わりつつあります。その最初の段階として、UNHCRは近々、日中に数時間キャンプの電力を止め、キャンプ内の電力消費量を低減させるとともに、人々の料金システムに対する意識を高めるキャンペーンを実施する予定です。
難民の生活に合ったキャンプマネージメントを行うには、難民コミュニティーの意見が必要不可欠となるため、上記のような方針も、難民との緊密な連携により設定されています。
このような長期的な計画は、電気だけではなく、キャンプ内の水の供給にも必要です。JENは12地区あるうちの3地区で水衛生の統括団体として活動しているため、住民に水をより効率的かつ効果的に配布でき、キャンプでより快適で持続可能な生活が送れるよう、他の水衛生統括団体やUNICEFと協働で、水供給のシステムを見直しています。
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