現在、ヨルダンのシリア難民の約77%がキャンプの外、ホスト・コミュニティで暮らしており、教育や病院などヨルダン政府が提供する公共サービスの恩恵を受けています。
前学期までヨルダンの公立学校に通うシリア難民児童は約3万人程度でしたが、新学期が始まった9月には約7万人にまで増加しています。それでも、まだ5万人のシリア難民児童が学校に通っていないと言われており、シリアの子どもたちの学校へのアクセス向上、そして生徒数の増加により学習環境が悪化している学校に対する支援は、支援団体の大きな課題です。
そのような中、JENはホスト・コミュニティのヨルダン公立学校において水衛生関連施設の補修および衛生教育事業を行っています。衛生教育は補修工事の完了した学校で行います。まず教員向けの衛生教育トレーニングを実施した後、トレーニングを受けた教員が生徒に対して衛生授業を行う、という形で取り組んでいます。
先週、ザルカ県の対象校で生徒向けの衛生授業が行われました。授業の内容は、衛生教育トレーニングの際に様々な手法を教員に説明するとともに、教員とのディスカッションを通じて、各学校、各学年の状況に応じたものに発展させていきます。
このクラスでは、コレラに焦点をおいて授業が行われました。まず、生徒によるロールプレイから始まりました。不衛生な屋台でお菓子を買い食いした子どもが、腹痛を訴え病院に行くというストーリーです。屋台の売り子役の生徒は顔にひげを描いていたり、医者役の生徒はコレラ菌を顕微鏡で確かめたりと、とても本格的なロールプレイでした。
【役になりきって演じる女子生徒】
そのあと、グループに分かれて、各グループがコレラの原因、症状、予防策、治療方法などを模造紙にまとめ、みんなでディスカッションをしました。こういった衛生に関連する伝染病について、緊急時に備えて知識を持ち、注意しておくことはとても大切なことです。子どもたちが学校で学んだ衛生の知識は、家族、そしてコミュニティへと広がっていきます。 衛生授業の最後には、クラス全員で水飲み場に行き、正しい手洗いの方法を実践しました。
【正しい手洗い方法を実践する生徒たち(3番目の生徒はロールプレイで売り子役だった子で、まだ顔にひげのペイントをしたままです)】
この水飲み場は以前は使用できない状態でしたが、JENが補修をして今は使えるようになっています。水飲み場には節水を呼びかけるメッセージが書かれていました。このクラスの生徒たちが少しずつお金を出し合って、ペンキを買い、このメッセージを書いたそうです。 この学校では、JENの水衛生補修と衛生教育を受け、各クラスが学校の衛生環境を向上する試みを自分たちで考えて実行するというキャンペーンを行っており、他のクラスの生徒はごみ箱を購入して、学校に設置したそうです。
【生徒たちが書いた節水をよびかけるメッセージ】
学校の衛生環境の改善は、JENが学校補修を行い、衛生教育をするだけで終わるものではありません。JENの活動に刺激を受けて、校長や先生たち、そして子どもたちが、より良い学校になるようさらに自分たちでできることをする、そういった持続的な取り組みを促すことが重要であると考えています。
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