ザータリ難民キャンプ開設直後の2012年9月よりザータリ難民キャンプで支援業務に従事して参りましたが、この度、任期を終え帰国することになりました。
思い返せば昨年の9月初めてザータリキャンプを訪れた時には、まだ道路やトイレも整備が始まったばかりで、砂漠のど真ん中にテントが点在しているだけでした。初めて訪れたザータリキャンプでは、着の身着のままシリアから逃げてきた難民が、風が吹くたびに砂塵が舞う中で生活をしており、砂漠のキャンプでの生活の過酷さを肌で感じました。
それからの1年強の間にテントが仮設住宅へと変わり(現在は住民の約8割以上が仮設住宅で生活しています)アスファルト舗装の道路が整備され、学校や病院も建設され、“シャンゼリゼ”や“五番街(フィフスアベニュー)”と呼ばれる2キロにも渡る商店街も自然発生しました。シャンゼリゼは数軒の八百屋や香水屋(入浴があまりできないため)からスタートしましたが、今では生肉や電化製品、ドネルケバブ屋さんまでありとあらゆるものが売買されており、厳しい環境の中でも自立した生活を送る人々の姿を目にしました。
ザータリキャンプ内の整備が進む中で、キャンプ内の格差が広がっているのも現実です。仮設住宅をいくつも並べて中庭に噴水を設置したり、家電製品を揃えたりとアンマンなどと変わらない生活環境を整えている人々が見えるようになりました。その一方で、支援団体からの支援に頼りながらキャンプ内で生活をしている人々がまだまだ多くいるのも事実です。特にザータリ難民キャンプでは18歳以下の子どもがキャンプ人口の5割以上を占めており、障害者や女性家長の家も多く、こうした社会的に脆弱な人々に確実に支援を届けていくのが緊急に取り組むべき、大きな課題となっています。
末筆になりますが、これまで至らぬところも多々あったかとは思いますが、微力ながらザータリ難民キャンプの現状をお伝えしてまいりました。シリア情勢が不透明な中、シリア難民のヨルダンでの生活がますます長期化することも十分に想定されます。まだまだ、支援は必要です。これまでの皆様からの温かいご支援に深く感謝いたしますとともに、今後ともより一層ご支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
【一緒に頑張ってきたJENスタッフとともに】(写真提供:菱田雄介)
JEN アンマンオフィス
プログラムオフィサー (ザータリ難民キャンプ担当)
佐々木 弘志
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