この支援速報を執筆中、ヨルダンの公立学校は年に2回実施される「タウジヒ」という全国統一大学入試の試験期間でした。タウジヒは2週間程続き、期間中に試験会場の学校で建物の建設や修復工事をすることは出来ないため、直近で支援事業を行った学校からの工事に関する意見に目を通しています。
現場からの意見は、事業実施後にJENエンジニアチームとは別のチームが学校を聞き取り調査訪問する際に校長先生にアンケート用紙を渡して記入をお願いしています。これによって、学校とJENエンジニアや工事を施工する建設会社とのコミュニケーション、建設現場での事故発生の有無、工事の質や事業全体の懸念等について情報を得ることが出来ます。
【JENエンジニアチーム:左からレイスさん, モハンマドさん, オサマさん, マイさん】
この意見書では、エンジニアが認識していなかった学校側の懸念や苦情、また事実とは異なるような内容も書いてあります。まずは全てのコメントに目を通し、内容を精査します。必要に応じて後日学校を再訪問し、現場で確認をします。過失・行き違いがあれば対策を講じ、発生防止に努めます。
JENでは建設・修復工事開始前に、学校側に対して担当エンジニアが工事内容を説明していますが、学校の意見から更なる工夫の必要性が見えてきます。
工事で技術的な問題が発生した場合、JENが設けている工事後6か月の保証期間中に修復をします。実際は、それ以外の問題の割合が多く、解決が非常に厄介です。
特に、支援を受けたヨルダンの公立学校が整備された施設を支援後に自力で維持管理し、故意による破壊行為を防止することが重要です。生徒による施設の破壊行為はヨルダンの公立学校では顕著で、ほぼ全ての援助関係者が共通して抱えている問題です。
問題解決を図って教員の士気を高める維持管理研修を考案したり、清掃員に対して清掃マニュアルを作ったりします。ヨルダンの子どもたちは各家庭ではトイレや洗面所をきちんと使っていますが、一部の生徒の公共施設の使用マナーは家庭とはかなり異なります。支援側の単独解決は、ほぼ限界に来ています。
学校は、子どもが故意に学校施設の一部を破損すると、学校が対応をするよりも「子どもが施設を壊す」という理由を掲げ、支援機関に定期的メンテナンスを要請してくる傾向があります。
学校施設を新たに整備した直後でさえ、生徒の意図的な破壊行為の防止がむずかしく、清掃員がいても施設の維持・管理がされずに使用不可能な状態になってしまった学校施設がたくさんあります。
ヨルダンの公立学校では、シリア難民危機の影響で学校施設が不足しているため、JENを含めた援助機関は学校施設の増築や新築に焦点を当てて支援をしています。ただその一方で、自助努力で施設維持・管理がされないために増築や新築された施設を含む既存の施設の劣化が加速しています。
JENを含め援助機関側は、支援の効果とその後の持続性を高めるため、一刻も早く連携して教育省に協力を求め、学校側の自助努力で施設維持・管理を実践させていく方法を考えて実行に移す必要に迫られています。
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