今回は、JENがヨルダンの公立学校で衛生教育を促進するために実施している取り組みをご紹介したいと思います。
まず、ヨルダンの学校の一般的な衛生施設をご紹介します。
学校のトイレは、スクワット式(しゃがみ込む方式)が一般的です。ヨルダンでは、便座のあるウェスタン(西洋)トイレに対し、このトイレを「イースタントイレ」と呼んでいます。トイレットペーパーはなく、生徒用のトイレは、便器の左側の壁に蛇口があり、そこに水をくむひしゃくが置いてあります。教員が使うトイレには、壁に小型のシャワー(ホースの付け根に水道栓のハンドルが装着)が付いているところもあります。生徒のトイレにシャワーを付けない理由は、中東において水資源が最も貧しいヨルダンで無駄水を削減するためです。水が一週間に一度しか供給されない学校もあります。
学校の手洗い場は、横並びに蛇口が付いています。これは日本の学校でも一般的だと思いますが、ヨルダンの公立学校でユニークなのは、手洗い場に錠鍵付きのカバーがあり、必要に応じて学校側が解放する蛇口数を調節し、また全部の蛇口を施錠できることです。
衛生施設が子どもたちにとって安全で清潔であるかどうかは、学校の自主的な取り組みによって大きく異なります。
安全と清潔に関しては、以下が主な問題になっています。
(1)トイレ内で高学年の生徒が低学年の生徒に性的ないたずらをする。
(2)子どもがトイレを流さない(トイレの使い方を知らない)ことで、他の子どもがトイレに行くのが嫌になる。トイレが流されない頻度が高いため、学校の教員も掃除要員も清掃しきれず、トイレをきれいに使えないのはこの国の文化だと諦めている。流されていないトイレが、施設を不衛生に見せている。
(1)の問題を解決するために、健康上の問題でトイレに行く頻度が高い生徒のリストを教員が用意し、それ以外の生徒には高学年と低学年の生徒を時間差でトイレに行かせるという工夫をしている学校があります。また、子どもが教員から許可を得て、教員の名前が書かれた名札を持ってトイレに行くという学校もあります。
(2)の問題には上記の名札制が有効ですが、実施している学校は非常に少なく、多くの学校で未解決です。また、ヨルダンの公立学校には清掃要員がいて、文化的に子どもに学校のトイレ掃除をさせることは親が絶対に許さないと言われています。そのため、JENの衛生促進員は、石鹸を使った手洗いを教員や生徒に指導をすると同時に、JENのエンジニアが修復・建設した水・衛生施設の正しい利用のし方も指導しています。
学校での促進活動では、日々の「指導」だけでなく、世界手洗いデーや、世界トイレデーを利用して、子どもたちの記憶に残る楽しいイベントも企画します。
また、ヨルダンには礼拝のためのモスクが点在し、多くの人が宗教を生活の一部と考えています。JENの職員は学校近隣のモスクを訪問して聖職者と衛生教育についての重要性を共有し、学校近隣を含む包括的な衛生促進活動も心がけています。
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