6月の支援速報では、JENは、ヨルダン全国の学校3,681校でニーズ調査を終了したとお伝えしました。今回は、その後の活動をお伝えします。
難民キャンプの外で難民を受け入れているヨルダン側の地元コミュニティのことを「ホストコミュニティ」と呼びます。JENの中で、そのヨルダンのホストコミュニティを対象に支援活動を行うチームは、ユニセフ(※1)と共に上述のニーズ調査の結果を分析(※2)し、全国の学校を4つのカテゴリーに分類しました。さらに、今回の支援対象校を決めるにあたり、現時点で早急に支援を必要とする1,200近くの学校の中から、更に113校まで絞り込む必要がありました。
(※1)ヨルダンでは、水衛生分野の支援活動はユニセフが主導します。難民キャンプ、ホストコミュニティを問わず、支援団体がどこでどの活動をしているかの把握や支援のための基準を決め、共有するなど、国際NGOや地元のNGO等との支援調整を図っています。
(※2)ニーズの分析は、支援の国際基準である『スフィアスタンダード』を基準にし、支援対象国の状況に合わせます。『スフィアスタンダード』とは、人道支援の現場において全ての支援者が配慮しなければならないとされる行動基準です。水衛生分野では、「生徒一人当たり何リットルの水が使えるのか」や、「生徒何人に対してトイレの数がいくつ必要か」等が決められています。
学校を絞り込む際には、「ヨルダン教育省所有の建物であること」、「全校生徒の数やシリア人難民の割合」、「建設スペースの有無」、「他団体と支援学校の重複がないか」等を教育省や地方政府の教育局と確認し、それを選定の基準としました。教育省から選定した学校に対して正式承認が下りるまでは、実に3-4週間もの時間が経っていました。
このようなプロセスを経て、現在、教育省から正式承認を得たヨルダン国内11県にある97校で水衛生施設の修復と建設を進めています。学校が夏休み中で生徒が校内にいなかったこともあり、すでに約60校近くの学校で水衛生施設の修復が終了し、トイレの新規建設も7割完成しました。
ヨルダンの公立学校では、女子トイレは明るめの紫色に塗装し、男子トイレは青色に塗装するようです。
ヨルダンでは、保護者が子どもに学校の水衛生施設の清掃をさせるのを拒む傾向が強くあります。男子もそうですが、特に女子生徒の中には学校のトイレは汚いため絶対に使わない、という子が沢山います。清掃をしないのであれば尚更、不衛生になります。また、学校によっては教員独自の判断で、不必要な数のトイレや飲み水の蛇口は生徒に使用させないように錠をかける等、子どもたちの権利は保護されていません。
そこで、新学期の9月から、JENの衛生促進員が上記97校を含む全国約113校の学校で衛生教育活動を実施します。衛生教育では、学校や子どもの衛生環境の向上と事業の持続性を目指し、教員や生徒、また保護者を対象にして、適切な衛生習慣を実施することの大切さ、生徒たちの水衛生に関する権利、清潔な衛生施設の維持管理や水の保全に対する意識の向上を指導していきます。
この活動は、支援者の皆様をはじめ、ユニセフの協力を得て実施しています。
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