<2012.10.1 シリア難民 ・キャンプ内で暮らすお母さんのインタビュー>
「生後6カ月の子どもがいるのだけれど、粉ミルクが足りなくて十分に栄養を与えることができない」
6人の子ども、夫とともにシリアから2日間かけ夜陰に紛れてザータリキャンプにやってきた彼女は語った。
緊迫しているキャンプの中で我々に癒しを与えてくれるのがこうした子ども達と触れあう時間である。ヨルダンは短い秋の季節を迎えており、日に日に気 温も下がっており、朝夕は上着が欠かせない。こうした中、キャンプの衛生状態は極めて悪く、今後子どもを中心に流感や感染症が蔓延することが懸念されてい る。
「子ども達の服も足りない。これからの事を考えると不安になる」
彼女のように着の身着のままキャンプへとたどり着き、衣類や生活用品に事欠く難民の数はとても多い。
国際機関などの活動により、キャンプ内での飲料水へのアクセスなどは改善を見せている。しかしながら、衣類とともに石鹸や洗剤といった衛生用品、乳幼児用の粉ミルク・おむつなどはまだまだ不足しており難民達の不満も日に日に高まっている。
>JENシリア難民緊急支援 募金はこちらから
https://www.jen-npo.org/jp/contribute/credit.php?country=s-syr&select1=0#now
>迅速な支援を届けるために皆さまのご支援が必要です。ご協力をお願いいたします。
<2012.9.20 シリア難民 ・支援速報が届きました>
ヨルダンにはシリア近隣諸国で最大の81456人[1]のシリア難民が流入しており、その多くが国境に近い同国北部に留まっています。
ヨルダン政府は定員12万人のザアタリキャンプをシリア国境に設置し、難民を集約する意向を持っており、国連機関などとともに現在キャンプの整備を進めています。同キャンプでは26000人(9月6日時点[2])が生活しており、その37%が12歳以下の児童です。また、毎日2000人~3000人がシリアから国境を超えヨルダン国内に流入しています。
キャンプに暮らす難民にとっての不満は電力、医療、食糧の不足とともにキャンプ自体の設置場所にあります。
砂漠のど真ん中に設置されたこのキャンプにおいて、国連機関などの活動により日々難民の生活を改善する為の取り組みがなされていますが、砂埃、暑 さ、風などが彼らの生活をとても困難なものにしています。中でも強風が吹くことで5m先の見通しも利かず、埃や砂がキャンプ中に撒き散らされることとな り、難民の生活を不快にするだけでなく健康面にも影響を与えることになりかねなません。
キャンプで暮すシリア難民の女性は、洗濯をしても5分後には砂埃を被るので意味をなさないと生活の厳しさを語り、キャンプに従事する医師は呼吸器系の疾患が幼児の間に広まっていると警鐘を鳴らしています。
今後、ヨルダンは降雨量が多い寒い季節を迎えることで、キャンプが多くの泥で埋め尽くされ、感染症が蔓延することも懸念されます。
シリアの政治状況が不透明な中で、難民キャンプでの生活がどの程度の長さになり、シリアへの帰還がいつになるのかも不透明な状況にあります。ジェン はキャンプでのシリア難民の支援を通して彼らの生活を支えるとともに、一刻も早く彼らが故郷への帰還が叶うことを強く望んでいます。
[1] 9月7日現在の国連登録難民数(UNHCR発表)。ヨルダン政府の発表では非登録の難民を含め約15万人がヨルダン国内にいるとされている。
[2] 同上
<2012.9.10 シリア難民 緊急支援を開始しました>
広大な砂漠の中に設置されたヨルダンの難民キャンプ・ザータリキャンプは、シリアの国境付近に設置されています。キャンプ内には、約23,400人 が収容されており、その約半数が18歳以下の子どもたちです(注1)。キャンプ内には、トイレや洗面所などの水回りの施設が設置されていますが、衛生環境 の悪さから、一時は子どもたちの間で主に水が原因とされる下痢が流行していました。また、今後は砂漠の砂埃による呼吸器の疾患が懸念されます。ジェンで は、キャンプ内でのニーズ調査とこれまでの緊急支援の経験から、子どもたちの衛生環境の改善の必要性を確認。国連機関などとの調整の結果、緊急支援とし て、まずは子どもたちを中心に、水由来の下痢や感染症などの蔓延を防ぐための衛生教育を実施することを決定しました。
緊急支援と並行し、今後も周辺国での状況をモニタリングし、越冬支援なども含め、随時、他のエリアでの支援の可能性を探っていく予定です。
【ザータリキャンプの様子。】
<これまでのヨルダンでの活動>
ジェンでは、2003月3月の米英によるイラク攻撃によりヨルダン国境に避難して来た人びとに対し、イラク・ヨルダン国境の難民キャンプでの緊急医療支援 をスタートしました。2004年8月からは、ヨルダンの首都アンマンに事務所を置き、以降、遠隔管理のもと隣国イラクでの支援を続けてきました。その後、 現在に至るまで、社会的に弱い立場に置かれがちな子どもたちへの支援として、バグダッド市内、アンバール県、バビル県、キルクーク県、ディヤラ県の貧困地 区での学校修復および学校での衛生教育を行ってきました。この度、シリア国内の情勢の悪化と難民の増加に伴い、イラク、ヨルダン国内でのニーズ調査の結 果、まずは事務所を置くヨルダンでの支援を開始します。
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(注1)8月26日時点、UNHCR(国連難民弁務官事務局)調べ