シリア難民支援速報

学校修復が始まっています!

2013.03.21

ヨルダンの公立学校は、約29000人のシリア難民の子どもたちを受け入れています。JENは、生徒数増加により不足している水衛生設備の整備のため、優先順位の高い北部ヨルダンの10校にて学校修復事業を行っています。

修復工事期間中は、ほぼ毎日JENのエンジニアが工事現場を訪れ、進捗状況ときちんとした質の工事が行われているかを確認します。

以前2013年2月21日のブログに登場した学校のひとつ、マフラック県のスハイブ・アルーミ小学校では、現在新しい水飲み場を建設中です。この学校では、手を洗うにも、水を飲むにも、塀をよじ登ってタンクの栓を開けなくては、水が使えませんでした。この新しい水飲み場でできると、子どもたちは安全にいつでも水を飲めるようになります。


3月155日は2年前にシリアで紛争が始まった日でした。故郷から遠く離れ何度目かの春を迎えるシリア難民の人々が、ヨルダンで少しでも安心して生活が遅れるよう、JENは引き続きシリア難民支援を行っていきます。

この事業は、ジャパン・プラットフォームと皆様のご支援で進められています。

 


新たな課題〜主体性と自分本位の違い

2013.03.14

ヨルダンは日に日に日照時間が伸び、夜の7時ごろまで明るくなりました。日中の気温も30度近くまで上がることも珍しくなく、砂漠の春の訪れを感じています。

先週もザータリ難民キャンプには新たに約6000人が到着し、人口が急速に増え続けています。目ぬき通りの商店街には牛肉やアイスクリームの売店、さらにはテレビの設置されたカフェまで登場し、シリアの様子を報道している姿を目にすることができるようになりました。

【ザータリキャンプ内のケバブ屋さん】

【ザータリキャンプ内にできたテレビのあるカフェ】

現在キャンプでは、住民自身による個別のテントへのトイレ、シャワーの設置が増加しており、このことが大きな課題の一つになっています。

我々が女性に対して行った調査では、2割強の人々が自分たちのテントやプレハブにこうした設備を自分で設置したと答えました。その理由として、共同トイレやシャワーの備品が盗まれて使用が困難になっていること、トイレまでの道のりが暗いなど特に夜間の治安への不安、などが聞かれました。

最近ではセメント、蛇口等の備品もキャンプ内の商店で売られており、住民によるトイレ建設を助長しています。

しかし、これら個別に設置された衛生設備は排水設備が整っておらず、汚水がそのままテントから垂れ流されて、キャンプ内の多くの場所で生活排水の水溜りができています。

【キャンプ内のいたるところで見られる個別テントからの汚水】
また、汚水で遊ぶ子どもの姿を目にすることも珍しくなく、気温の上昇とともに水因性の疾患に罹る住民の数も増加しています。

【テントから排水される汚水と周りで遊ぶ子どもたち】
今後さらに気温が上昇する中で、深刻な健康被害をもたらすことが懸念されています。

JENは、公共の衛生設備の正しい使い方や維持管理方法について難民主体の水衛生委員会メンバーや住民たちとともに話し合うとともに、正しい衛生知識の普及に取り組んでいます。

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ザータリキャンプにて衣料の配布を行いました

2013.03.07

昨年7月に設置されてから7か月が経ったザータリ難民キャンプは冬の今、凍えるような寒さや冷たい雨、時には雪も降り、人びとの生活は一層厳しくなっています。


JENはシリア難民に越冬支援事業も行っています。2013年1月には、UNHCRと協働してザータリキャンプ内の約5000世帯を対象に冬服などを2回配布しました。

冬服は、スムーズに行きわたるよう、世帯ごとに大きなビニール袋にまとめてから配布しました。日本から届いた冬服のコンテナを仕分けし、世帯ごとに袋詰めする作業は、昼夜を徹して行いました。

2月25日には、3回目の配布を行いました。1回目、2回目の配布で冬服を受け取れなかった242名の人々が対象です。その日も、冷たい風が吹き、砂が舞い上がっていました。子どもたちや女性たちの中には、配布物を積んだトラックを取り囲むたくさんの人垣の中まで入って来ることのできない人もいました。

配布開始後1時間経ったころ、受け取りの順番が来てJENのスタッフに名前を呼ばれ、満面の笑顔になった少年がいました。シリアのダアラ市出身のアドナンくんです。

「ぼくは去年の8月に弟と紛争から逃れてここに来たんだ。大混乱の中から逃げてきたから何も持って来なかった」

ダアラ市はシリア南西のヨルダンの国境に近い町で、シリア紛争の発端となった暴動が激しく起こった地域です。着の身着のまま混乱と恐怖の中から逃げ出してきた人々も多くいます。アドナンくんもその一人。

「僕を見てよ。汚いでしょ。服をもらったのはこのキャンプに来て初めてだよ」と笑顔で洋服の入ったビニール袋を見せてくれました。


UNHCRによると、今ザータリキャンプには10万人以上の人々が避難しており、その数は日に日に増加しています。JENはその状況に対応するため、まだ服を受け取っていない人々を対象に衣料品配布を続けていきます。

衣料品配布事業は、ユニクロ様およびフェリシモ様にご協力をいただいて実施しております。

 

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衛生問題を意識する大切さ

2013.02.28

シリア難民をとりまく環境改善のために、ヨルダン政府、JENをはじめNGOを含む国際機関が一体となり日々キャンプ内の環境整備を進めています。前回もお伝えしましたが、キャンプ人口の急激な増加により、様々な分野で人びとのニーズ全てに迅速に応えられていないのが現状です。

影響を大きく受けているもののひとつが水衛生の設備です。限られた資源とサービスの中で、ここに暮らす人びとの衛生的で安全な避難生活を確保するためには、住民自身が適切に設備を使うことと維持管理をすることが、緊急の課題となっています。

JENは区画にわかれているキャンプ内のすべてのエリアで、住民による水・衛生委員会の設立とコミュニティ強化に取り組んでいます。委員会は、水・衛生分野において住民の代表です。そのメンバーは元行政職員、エンジニア、配管工、教員といった水衛生に関連する職歴を持つ方も多く、自分たちが住むエリアの環境の向上に取り組みます。

現在、キャンプ内の2つのエリアにて衛生委員会が立ち上がっており、近日中には別の2つのエリアでも新たに委員会の立ち上げを予定しています。

長引く避難生活は、今後も続きます。水因性疾患の蔓延など水にまつわる問題が発生しやすい夏場を迎える前に、住民が主体的に衛生意識を高めている状態をつくることが急務です。

もともと水資源に乏しいヨルダンでは、夏場に向けて更に水不足が深刻化します。豊かな水源を保有するシリアで暮らして来た人びとは、ここでは特に節水意識の向上を意識しなくてはなりません。そこで、JENは、衛生委員会メンバーを中心として展開する住民主導の水と衛生意識の改善活動の活性化を促進してゆきます。

10万人以上が暮らす広大なキャンプ全域での委員会設立には、事前講習を受けたスタッフが従事します。講習の様子は、こちら

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2/21 拡大を続けるヨルダンの難民キャンプ

2013.02.21

1月18日に幣団体のシリア難民緊急支援についての報告会を東京にて開催いたしました。当日は多くの方にご参加いただき、シリアから避難を余儀なくされた人びとの生活や支援について紹介することができました。ご参加くださった皆様に心より感謝申し上げます。

ここヨルダンには、これまで以上に毎日多くの人びとがシリアより避難してきています。現在は近隣諸国で最大の受け入れ国となっています。ヨルダン政府、国際機関、NGO等、世界中から集まる全ての団体がこの緊急事態に全力で取り組んでいますが、そのニーズ全てに応えるには、まだまだ多くの多様な支援が必要なのが現状です。

今週、一時休暇を終え約ひと月ぶりにヨルダンに戻り、ザータリ難民キャンプを訪れました。キャンプの人口は、わたしが不在にしていた間に約5万人も増加しており(UNHCRの発表2月12日時点で約10万8千人が滞在)、現在も毎日拡大を続けています。

【見渡す限りキャンプが拡大中です】

たった1ヶ月なのに、どこか異なるキャンプを訪れているのか?と感じるほどに様子が一変しており、ただただ驚きました。また、開設当時、がらんとしていたキャンプ内のJENフィールドオフィス周辺にまで、多くの商店が立ち並んでいます。多くの人が行き来し、さながら目抜き通りの中心にオフィスを構えているかの様子です。

【オフィス前に広がる商店街】

人口の増加にともない、そこに暮らす人びとが衛生設備(トイレ、給水場等)を使用する頻度も増しています。JENが立ち上げをサポートしているキャンプ内の水衛生委員会での議論も活発になっています。

現在、キャンプ内の2つの地域にて衛生委員会が立ち上がっています。今後もキャンプ内のコミュニティ強化を促進するため、拡大を続けるキャンプ内の全ての地域において同様の活動を行いますが、そのための準備を行っています。