現在、JENはシリア難民受け入れによりトイレの数の不足や生徒の衛生意識の欠如などの衛生面での問題を抱えている学校を対象に、衛生教育を実施しています。
教員に対する衛生教育トレーニングに引き続き、トレーニングを受けた教員による生徒向けの衛生授業、衛生キットの配布を行いました。
マフラック県にあるアルハムラ女子学校では、ニスレーン先生は生徒たちを4グループに分け、生徒たちは自分たちのグループ名をそれぞれ「蝶」「花」「かもめ」「未来の若者」とつけました。
ニスレーン先生はJENの衛生教育教材をもとに衛生に関する授業を行ったあと、各グループに色と形の違う紙を渡し、各グループはそれぞれ異なる感染性疾病について定義、症状、伝染方法、予防方法をそれに書きこみ、模造紙に貼って、みんなの前で発表しました。生徒みんなが見られるように、できあがった模造紙はJENが配布したポスターとともに廊下に貼られます。
女子生徒の一人は、「家や学校での節水や健康維持のためのみんなの衛生意識の向上を進めるお手本になれればと思います」と語ってくれました。
アルボイダ男子小学校のアブドゥラ先生は、子どもたちが興味をもって衛生について学べるよう、生徒二人にみんなの前で劇をさせました。二人は、JENの低学年用小冊子の主人公サラとアフメッドのお話をもとにした劇を発表しました。
「ぼくの学校には石鹸がないけど今日からは自分の石鹸があるので、トイレの後や食事の前に使いたいと思います」JENから衛生キットを受け取った同小学校の10歳の生徒はそう言って、JENスタッフに感謝の気持ちとして自分のキャンディを分けてくれました。
このように学校で、衛生の重要性や助け合いの精神、喜びや幸せを分け合えるのはとてもうれしいことです。
この事業を支援してくださっているジャパンプラットフォーム、そしてJENサポーターのみなさんに心より感謝しています。
プログラム・アシスタント/サルワ・アルジャマ
支援者の皆様へ、
2013年3月26日(火)、ヨルダン北部ザータリ難民キャンプ内において発生したラティ・アイド(Latih Ayed)ちゃん(当時7歳)の死亡事故を受け、JENでは、同国での支援活動を即時休止いたしました。
この期間、原因究明、調査、各関係機関への報告、今後の安全および危機管理対策等、団体内外にて調整を行ってまいりました。
JENは、本日4月4日よりシリア難民緊急支援活動を再開いたします。シリア国内の状況は依然深刻で、ヨルダンへ避難する難民の数は増加の一途をたどっています。JENは、これからも現地の人々の協力を得て、シリアの人々と彼らを受け入れているヨルダンの人々が、ともに安心して生活を営めるよう、生活環境改善のための緊急支援活動を続けてまります。
ヨルダン ザータリ難民キャンプで起こったラティ・アイドちゃんの不慮の死について
JENスタッフ一同
2012年1月から現在まで、ヨルダンにはシリアでの紛争を逃れてきた難民が約30万人います。
先日、ヨルダン軍の許可を得て、首都アンマンから約80キロ北に行ったところに位置し、ヨルダンに避難するシリア難民が一番多く越える国境のある町、ジャベルを訪れました。
ヨルダン国境保安部隊の指揮官であるブリガディール・フセイン・R アルゾウドゥ氏は「378キロにおよぶシリアとの国境にある45か所の検問所を越えてやってくる、2000〜3000人/日の難民を受け入れています」と語ってくれました。
「国境に到着した人びとの多くは負傷していて、銃で撃たれた跡のような傷を負っている場合もあります。我々は負傷した人びとが到着した場合は救急車で近くの公立病院に運んでいます」。
しかし、国境で活動する救急車の数はまだ足りないと言います。
ヨルダン軍高官によると、国境の近くにあるナシーブという町からは、大きな大砲の音や銃声が聞こえるということです。以前、シリア難民のほとんどは、夜中に国境まで移動してきていました。しかし、南部での戦闘が激化している現在、時間に関係なく一日中人々が逃げてくるようになりました。
上の写真はジャベルの国境です。ここでは新たに到着するシリア難民にヨルダン軍から医療が提供され、食糧、毛布、衣料品が配られます。
私がここを訪ねた時には、寒い屋根だけのテントに250人の疲れ果てた人びとが座っていました。彼らはザータリ難民キャンプに連れて行ってもらうために何時間もここで待っているのです。また、ザータリキャンプには現在すでに10万人以上のシリア難民が避難しています。
4歳の女の子が、JENが配布した新しい紫色の長靴と上着に着替えようと、お母さんに手伝ってもらっていました。限られた荷物だけを抱えて闘争から逃れてきた人びとの服は大人も子どももほこりまみれでしわくちゃです。数時間前、そのお母さんは闘争が激化しているダマスカスから南部のダラア県に5人の子どもを連れて逃げてきました。
「私たちの故郷は崩壊してしまいました。そしてダラアの町に逃げてきたのです。そして、1時間半歩いてやっとヨルダンとの国境にたどり着くことができました」とお母さんは話しました。
現在、JENは新たに国境に到着する約1500人分の衣料品のセットを配布する準備を行っています。
ヨルダンでのシリア難民人道支援における衣料品配布支援は、支援者の皆様、JICA、ファーストリテイリング株式会社(ユニクロ)、フェリシモ基金事務局のご協力により実施しています。
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JENでは、シリア難民緊急支援へ、ご寄付を募っております。
皆様のご協力、ご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。
クレジットカードによるご寄付は、こちらから。
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2013年3月26日(火)、ヨルダン北部ザータリ難民キャンプ内において、両親とキャンプに暮らす兄弟(10歳、7歳)が停車中のJENスタッフ所有の車両の下で遊んでいました。現地時間26日16:00(日本時間同22:00)、兄弟は発進しようとしたこの車の下敷きになってしまいました。二人をただちにキャンプ内の病院へ搬送しましたが、まことに残念ながら7歳のラティ・アイド(Latih Ayed)ちゃんの死亡を確認しました。
事故発生当時、スタッフは一日の業務を終え帰宅する直前で、面識のあるラティ・アイドちゃんのご両親とあいさつをかわしていたところでした。この悲しい事故を受け、このスタッフが属する部族のリーダーがご両親のもとを訪れスタッフへの許しを請い、ご両親は、これを受け入れてくださいました。翌27日、ザータリ難民キャンプ内で、ラティ・アイドちゃんのお葬式が執り行われました。JENヨルダンの現地スタッフも参列し、ご両親へ哀悼の意を表しました。シリアでの厳しい戦闘を逃れ、やっとの思いで難民キャンプに到着し、家族そろって生活を始めた矢先に起こったこの事故に、いたたまれない、悲しい思いでいっぱいです。
ここに、改めて哀悼の意を表するとともに、ご遺族の方に衷心よりお悔やみ申し上げます。
ジェン 共同代表理事 吉岡健二 赤川惠一
気温の寒暖差が大きい砂漠に位置するザータリキャンプでは、朝晩の冷え込みは依然厳しいものの、日中に照りつける日差しは日増しに強くなってきています。気温の上昇に伴い、水因性の疾患による健康被害の増加など、水にまつわる問題の深刻化が懸念される中、水衛生設備の適切な使用と維持管理、及び難民自身の衛生意識の改革が強く求められています。
これまでにもご紹介している通り、JENはキャンプ内の水衛生環境改善のサポートを行っており、キャンプ内の各エリアにおいて、シリア難民による水衛生委員会の設立に取り組んでいます。各エリアの衛生委員会の下には、区画に従って12のグループ(小委員会)が設立され、それぞれの区画内の水衛生環境の向上に向けて取り組みを開始しています。
以下に小委員会及び水管理委員会のそれぞれの会議の様子をご紹介します。
【小委員会の会議の様子】
区画毎に設立された小委員会は、男性女性各6名(計12名)のメンバーからなり、水関連問題における住民代表として、区画内に設置された水衛生施設の適切な使用・維持管理及び住民の衛生意識の向上に向けて議論を進めています。
住民ボランティアによる施設清掃活動や、設備の適切な使用に関する啓蒙活動など、すで意欲的に活動を展開しているグループも多く、今後のさらなる活動の普及と促進が期待されます。
【水衛生委員会の会議の様子】
現在、キャンプ内の4つのエリアにて衛生委員会が立ち上がっています。各委員会は、エリア毎に設立された12の小委員会の男女の代表24名で構成されています。
会議ではキャンプ内における水衛生環境の現状と問題点及び解決への提案、それぞれの区画における活動の事例紹介など、水衛生に関する活発な議論が展開され、環境向上に向けたアイデアの共有が進められています。
【会議後に、情報交換・アイデア共有を行う水衛生委員会メンバー】
水衛生委員会及び小委員会による水衛生環境の向上に向けた取り組みは、キャンプ内のコミュニティ形成の強化及び生活環境向上に向けた難民自身による積極的な活動の促進に繋がることが期待されています。