ヨルダンはだんだんと寒さが増し、ザータリキャンプに住む12万人以上のシリア難民の人たちの暮らしはより厳しくなってきます。キャンプ住民が厳しい寒さに充分に備えられるように、JENはキャンプに住むすべての住民に対し冬物衣料配布を行います。
【インナー、ジャケット、ズボンからなる個別パッケージを準備するJENスタッフ】
今年の8月に、ファーストリテイリング社より寄付された55万着の衣料を受け取りました。30人以上を雇い、衣料を年齢、性別に応じて選別した後、さらに、男性用、女性用、子ども用の個別パッケージを作りました。選別の際には、厳しい寒さに耐えられる衣料か、文化的に許容できるものであるかという点も考慮しています。
【家族用パッケージは各世帯の構成に応じて準備】
今回の配布は前回(1月)の時と同様に、家族ごとに衣料を配布します。しかし、キャンプ住民は紛争で家族を失っていたり、父親や兄弟がシリアにまだ残っていたりと、世帯の規模や構成は、家族によって大きく異なり、標準的な衣料パッケージを作るのは困難な状況です。
そこで、JENは衣料配布にさきがけ、ザータリキャンプ内で世帯調査を行い、調査結果に基づき各家族のニーズに応じた家庭用の個別パッケージを用意しました。
【世帯調査および配布に関して、難民と協議をするJENスタッフ】
また、JENは衣料配布の全プロセスにおいて、対象となる地域のシリア人住民を巻き込み、活動を行っています。住民が当事者意識とコミュニティに対する責任を持ち、衣料配布に取り組めるよう、コミュニティとの協議を繰り返し行なっています。 衣料配布は2013年10月末週より始まっています。
トゥリサ・ルシアンダリ(プログラムオフィサー)
【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
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10月10日(木)、JENはザータリ・キャンプでの国際ハンド・ウォッシング・デイ(Global Hand Washing Day) に他の国際NGOと共に参加しました。 JENの衛生促進スタッフは活動推進員(コミュニティ・モビライザー)の協力を受けながら、キャンプ内の第3、4および5地区において、このイベントを盛り上げました。
この活動は、日頃の適切な手洗い習慣が、深刻な病気を未然に防ぐ為にいかに重要であるかという点を広く伝えるために行われたものです。
【JENスタッフがキャンプ内を歩き、会場に子どもたちを連れていきました】
午前9時にJENのスタッフは各地区で子どもたちを集め、その子どもたちは横断幕やポスターを持って、キャンプ内で元気に歌いながらイベントへの参加を呼びかけました。
イベントは、手洗いの大切さと、ひとりひとりの衛生管理が命を救いキャンプの人々を病気やばい菌から守ることを伝える劇で幕を開けました。 子どもたちはそれぞれ与えられた役をしっかりと演じ、多くの観客は心を動かされ、手洗いの大切さを改めて学んだようでした。この後、正しい手の洗い方をJENのスタッフが実演しました。
【劇の一場面】
ゲーム、劇、手洗いの実演、凧作り、風船、人形劇等を通じ、年齢に応じてグループ分けされた子どもたちはそれぞれの出し物に参加し、楽しみました。
【手洗いの実演】
子どもたちはこの他にも衛生管理を呼びかけるポスターを一生懸命作ったり、とても素敵な一日を過ごしました。
【子どもたちの絵画活動】
また、子どもたちはJENのスタッフとともに、正しい衛生管理の仕方を学ぶゲームを楽しみました。JENは石けんなどの賞品を用意して、子供たちに積極的に関心を持ってもらうよう工夫しました。
【衛生管理を伝えるゲームで楽しむスタッフと子どもたち】
楽しい一日が終わりに近づいても、参加者は皆とても精力的で、JENのスタッフも子どもたちと輪になって座り、いつまでも手の洗い方を教えていました。
【「The power is in our hands」と声をそろえて云うJENスタッフ】
一日の終わり。会場を去る子どもたちは皆、嬉しそうに歌い、ポスターや横断幕を持って家に戻っていきました。可愛らしい笑顔で、「参加出来なかった友達にも手洗いの大切さを伝える」「自分たちもこれからも手洗いを続ける」と言いながら手を振って帰っていく姿が印象的でした。
いつまでも続けばいいと思うような素敵な一日でした。
【「石けんはともだち、わたしをばい菌から守ってくれる」というメッセージが書かれたポスターを手に家へ帰る子どもたち】
ザータリキャンプ衛生促進マネージャー サバ・ヨーニス
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ヨルダンにも秋が訪れ、朝晩は長袖でないと寒いぐらいになってきました。ザータリキャンプでも2度目の冬への準備が始まっており、昨冬に経験したような2~3万人の急激な新規難民の到着にも対応できるような準備が、国連諸機関を中心に行われています。
また、難民キャンプでは、現在30を超える支援団体が活動していますが、JENはその中の主要な6つのNGOの一つとして、3つの国連機関とともにザータリキャンプの中長期戦略を練る会議のメンバーに選出されました。
難民キャンプの“都市化”は今も進んでいます。支援団体の間で“シャンゼリゼ”と呼ばれている商店街だけでなく“5番街(フィフスアベニュー)”と呼ばれる商店街も出現しました。
お店のバラエティも増えてきています。商店街には、テレビから暖房器具まで電化製品を幅広く扱う店舗や、本格的な機材を導入してミネラルウォーターを製造し、販売する店舗が出てきました。
キャンプ内に次々と新しい設備ができてゆくことは、キャンプ内の格差が広がってゆくことも意味しています。エアコン、テレビ等の電化製品が揃えられたプレハブの仮設住宅に暮らす家族がいる中で、支援団体からの支援に頼って生活を送っている家族も多くいるのが現状です。キャンプ内では女性が家長となっている家庭、子ども、高齢者、障害者が多く暮らしているため、こうした社会的に弱い立場にある人々へ確実に支援を届けていくことが必要とされています。
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欧米諸国によるシリアへの軍事行動の可能性が日本でも多く報道されています。2011年から始まったこのシリア紛争、シリア難民を受け入れているヨルダンではこれまでどういう生活の変化があったのでしょうか?
まず、日用品の値段が、少しずつではありますが、確実に値上がりしています。携帯電話のプリペイドカードから、輸入される野菜、果物などの食品類まで、日常生活に欠かせないものばかりです。
また、住居の賃貸料も2年前に比べて2割ほど値上がりしています。シリアから避難してきた人たちの中には、ヨルダンに住む親戚を頼ってやってきて、同じ家に住んでいる人たちもいますが、自分たちでアパートメントを借りて暮らしている人たちもいます。住居の確保は最重要課題なので、アパートメントを借りられるだけの余裕のある人たちは、こちらの物価にいくらか上乗せしてでも借りようとします。その結果、賃貸料が値上がりするのです。
ガスやガソリンの値段も、今年の初めからじわじわと上がっています。ヨルダンでは、ガスストーブや重油を使ったセントラルヒーティングが主流ですので、この値段の高騰は、これから冬にかけて人々の生活に大きな影響を及ぼします。
このような変化を外国人である私たちもひしひしと感じている今、ヨルダンの人たちはより強く感じ取っているでしょう。JENはシリア難民だけではなく、シリア難民を受け入れているヨルダン人ホスト・コミュニティも快適な生活を維持することができるよう、学校修繕や衛生教育などを通じた支援を行っています。今ある現状が少しでも改善されるサポートを、これからも続けていきます。
【シリア西部の都市、ホムスからの車。いたるところでシリアからの車を目にします】
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JENが行っている活動は、様々な役割の現地スタッフによって支えられています。毎日フィールドに出て直接人々と接しながら活動するスタッフもいれば、そういったスタッフがスムーズに活動できるよう事務所からサポートしているスタッフもいます。
後方支援を行う部署はあまり注目されませんが、事業を行う上で鍵となる部署であり、その業務は多岐にわたります。経理関連から、人事管理、車両の手配、事務所設備のメンテナンス、文房具の手配まで。小さなことのように思えますが、これらがしっかり管理されていないと、プロジェクトが立ちゆかなくなるのです。 頂いたご寄附の一部は、直接人々に届くものだけではなく、こういった事業を運営する上で必要となる総務関連費用としても使われています。
先日、アンマン事務所の総務担当者が南スーダンのジュバ事務所の現地スタッフとスカイプミーティングを行いました。このミーティングはアンマン事務所で使っている総務関連のフォーマットの詳細を教えてほしいという、ジュバ事務所からの要請を受けて実現したものです。 総務業務を熟知しているもの同士なので、国際スタッフは出席せず、ミーティングはアラビア語で行われました。 担当者にとっては、南スーダンの人とも、JENの他地域の事務所スタッフとも話をするのは初めてで、良い刺激になったようです。
【ジュバ事務所とスカイプミーティングをするアンマン事務所総務担当者】
各事業地は、事業内容もそれを取り巻く環境も異なるため、あまり双方間の交流はなく、国際スタッフ同士の意見交換にとどまっているのが現状です。
今回のミーティングのようなものが今後も行われ、各事務所の現地スタッフがお互いに刺激を受けながら、より良い活動をできるようになればと思います。
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