2014年3月15日、シリア紛争が始まってから丸3年を迎えました。3年が経ち、ヨルダンに避難した難民の数は現在までに585,000人となり、さらに増え続けています。ザータリ難民キャンプには毎日新たな難民がやってきます。
ザータリキャンプに到着する難民のニーズに応えるため、JENはキャンプの難民登録エリアにて、新しく到着した難民への衣料配布を始めました。
国境を越えたあと、シリア難民はUNHCRによる登録を済ませ、真夜中にバスでザータリキャンプに到着します。そこで、WFP(世界食糧計画)、Save The childrenから提供される食料を受け取り、UNHCRから毛布を受け取ります。JENは2014年3月10日以降、新しく来た家族それぞれに、UNIQLOの衣料が詰まったバッグを配布しています。
【ザータリ難民キャンプ登録エリアにあるJENの配布キャラバン】
今まで行ってきた衣料配布では、事前にキャンプに住む家族に対し、世帯ごとに調査をし、世帯規模・家族構成別に家族用バッグを用意しました。しかし、新しく到着した難民へは事前調査ができないため、個別の家族用バッグの準備はその場で行わざるを得ません。そのため、配布が滞りなく行われるよう、JENの衣料配布キャラバンでは、7人のスタッフが2交代制で、週7日24時間体制で働き続けました。
【世帯規模と家族構成によって衣料を仕分け、配布準備をする現場のJENスタッフ】
開始から3日間で、JENは800人以上の難民に衣料を配布しました。彼らは、気温が低くなる真夜中に暖かい服を受け取り、非常に喜んでいました。
JENの衣料配布チームによって長い時間かけて丁寧に衣料が仕分けられ、再梱包されたことにより、今回も円滑な衣料配布を実施できています。このようなチームの役割が円滑な配布作業には不可欠ですが、裏方の仕事は見落とされがちです。JENアンマンオフィスは、彼らの活躍をここに称えたいと思います!
チームは2014年1月初め以降、すでに40,000セットの衣料バッグを用意しました。
ザータリキャンプに到着する難民数は毎日変動がありますが、JENチームは暖かい衣料を用意し、いつでも難民を迎える準備ができています。シリアから逃れてきた方々がキャンプでの寒い夜をしのげるように、これからも衣料配布チームと共に頑張ります。
エメリン・ゲラン
プログラム・オフィサー
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シリアとヨルダンの人たちの間では、水の利用の仕方において大きな違いがあります。シリアの人々は、公共設備を共同で使うことには慣れていません。難民キャンプにおける水衛生委員会の仕事をさらに難しくする要因のひとつとして、このような文化的相違が挙げられます。
JENのスタッフによる事前研修を受けた34の水衛生委員会が、水衛生設備の清掃と簡単な維持管理を担当しています。各水衛生委員会は6人のシリア難民たちで構成されており、維持管理のために、各水衛生設備あたり月100ヨルダン・ディナール(約14000円)という少額の予算が割り当てられています。
水漏れ、個人による水の不正使用、報告に上がってこない難民数の急増などにより、1人あたりが1日に使える水の量は減り、これは難民にとって深刻な問題となります。そのような状況の中、全ての難民が水や清潔なトイレ、シャワーを使えるようにと、JENには、水衛生委員会をサポートする目的で、日々対象地区の見回りをしているチームがあります。この維持管理チームは、水衛生委員会の限られた予算と技術では対応しきれない問題箇所の修繕を行っています。
【ザータリキャンプ内の学校で給水栓を修理しているJENの技術チーム】
JENが担当する3つの区画では、約25,000人とも言われる人々が、一日に数回水衛生施設を使っています。浄化槽の撤去や給水タンクの補給を行っているような他の団体と密に連携しながら、これだけの人々が日々安全な飲み水やトイレにアクセスできるようにすることは、水衛生委員会にとってもJENスタッフにとっても大きなチャレンジです。
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ジェンのアンマン事務所がシリア難民支援を開始してから1年以上が経ちました。ホスト・コミュニティ事業では、公立学校での水衛生設備補修および衛生教育事業を続けてきました。そして、ついに目標としていた150校での補修工事が完了します。
この事業の難しさはひとえに、その数にあると思います。1校1校での補修事業の規模は他の国の事業と比較して小規模ですが、150校を対象にするということは、すなわち150以上の水衛生設備があり、150人の校長先生と協議をし、150のケースの異なる補修を行わなければならないということです。
たとえば、ある学校は1000人以上の男子生徒をかかえる大規模学校ながら、トイレが4つしかない状態でした。そこで、ジェンは県教育局のエンジニアチーム、校長先生と協議の上、倉庫として使われている場所をトイレにリフォームしました。
またある学校では、男子生徒と女子生徒が同じトイレを使っており、男子生徒にドアを開けられたりするため、女子生徒はトイレの使用を嫌がっていました。ジェンは、トイレの裏側の使用されていなかったスペースをトイレにリフォームした上で、男子用と女子用トイレを分けるパーティションを設置しました。
このように、ジェンエンジニアチームは各学校の状況に応じて、何が必要か、何ができるかを見極めて対応しています。エンジニアチームは比較的若いメンバーが多いのですが、いいものを生み出そうとする情熱は計り知れません。
その気持ちは結果にもきちんと結びついています。ある学校の校長先生は、トイレがきれいに補修されたことを喜び、学校のFacebookページに補修前と補修後の写真をアップしています。コメントには「ジェン、そして私たちの学校の環境改善に尽力してくれたみなさん、ありがとう」とあります。
ジェンの公立学校に対する支援はこれで終わりではありません。ますます高まるニーズに答えるため、さらに追加で50校での水衛生設備補修を計画しているほか、学校の受け入れ可能な生徒数を拡大するため、教室の追加建設も開始しています。
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新年を迎え、JENのザータリ難民キャンプでの衛生促進活動も、子どもを対象とした新しい活動を開始しました。
11万人以上いる住民の4割近くが11歳以下の子どもというキャンプの現状では、子どもを対象とした活動の必要性が大変高くなっています。それらは、子どもたちの衛生に対する心構えを変えるだけではなく、戦禍を逃れ、子ども時代を難民キャンプで過ごす子どもたちの心のケアにもつながっていきます。
そこでJENは2014年度の衛生促進活動のキックオフとして、1月16日にキャンプ内にあるJENのテントで子ども向けの衛生促進イベントを主催しました。この子ども向けイベントは毎月行われているため、前月のメッセージを引き続き広めるいい機会となっています。12月のメッセージは「水の使用量の管理」だったことから、今回のイベントも水に関する活動となりました。
当日は風が強く、寒い日だったのでイベントの参加者が大幅に減るのではないかという懸念がありました。そこで、衛生促進活動員2人がピエロに扮装しました。ピエロたちがキャンプ内を歩き回りながら子どもたちをイベント会場に誘うことで、予想以上の参加者を募ることができました。
イベントでは、歌を歌ったり、シリアの子どもたちによる劇を披露したり、水に関連したクイズを出したりと、JENのスタッフは色々な工夫を凝らしたアクティビティを通して水の大切さを子どもたちに教えました。劇の担当をした子どもたち6人は、JENのスタッフと何時間もの練習を重ね、素晴らしい演技を披露してくれました。
また、クイズの後には子どもたちを数名のグループに分け、【水って何?】をテーマにポスターコンテストを催しました。子どもたちはそれぞれの想像力を発揮し、色々な観点から水の意味と大切さを描いてくれました。JENはこのように、子どもたちを巻き込んだ活動を通してキャンプ内での衛生教育を促しています。
【水って何?子どもたちはそれぞれのクリエイティビティを見せてくれました】
最後には、子どもたちが今までに学んだ衛生メッセージを家でも実行できるよう、歯ブラシやはみがき、石鹸を含んだ衛生キットを、参加した子どもたち全員に配布しました。
1月のメッセージは【個人衛生】。子どもたちがこの衛生キットを使い、身の回りを清潔に保っている姿が見られるのを期待しています。
このイベントは難民の子どもたちだけではなく、JENの衛生促進活動員のチームビルディングにも大いに貢献しました。
活動員も子どもたちも2月のイベントを楽しみにしています。
【ホストコミュニティとキャンプで活動する衛生促進活動員たち】
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12月15日~23日まで、JENのシリア難民が暮らすキャンプとホストコミュニティーでの支援を視察させてもらうため、ヨルダンに伺いました。現在従事しているアフガニスタン及びパキスタンでの支援活動は、治安の問題で事業地に行くことが困難なため、JENが行っている海外での支援を初めて目の当たりにしました。
12月23日、JENが支援活動を行っているザータリキャンプに到着しました。事前にある程度は予習をしていったものの、数十万人規模のキャンプは想像を絶するスケールでした。広大な平地にテントとプレハブが乱立しており、プライバシー、寒暖、トイレ、食事等、あらゆる面で大変な思いをされている方がいることを容易く想像できました。
私が到着する前日までザータリでは大雨が降っていたようで、「水たまりが大きな問題」と道中からスタッフに聞いていました。 たくさんのニーズがある中で、何故これが優先事項なのか最初は分かりませんでした。
しかしキャンプに到着するとすぐに気付いたのが、まずこの敷地の水はけがとにかく悪いということです。そして、たくさんの方々がテントの脇に穴を掘って生活用水を流しているのですが、雨が降ると穴が塞がって汚水が家屋に逆流します。さらに電線がむき出しになっているため、停電になっているエリアがありました。さらに、水たまりに触れて感電する危険性があります。
言われてみればその通りなのですが、この非日常なキャンプ生活の中では小さなことが思わぬ問題に発展するのだと感じました。
キャンプの中心通りに出ると、通称「シャンゼリゼ通り」という商店街の様な道があります。日用雑貨から野菜、肉、食堂があり、どこから持ってきたのか家電売り場や果てはインターネットカフェまで営業していました。同僚曰く「彼らは時間を無駄にしない人々」とのことで、旺盛な商人魂に驚きもしました。
【電柱には、鳥の巣のようになった電線の束がぶらさがっています】
シリア難民が帰還できる日がいつになるのかは皆目見当がつきません。だからこそ、避難先で少しでも暮らしが良くなり希望を持てるよう、スタッフ一同邁進いたします。
アフガニスタン・パキスタン事業担当
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