夏休みが終わり、新学期が始まった学校で、JENの衛生プロモーターと、衛生教育の訓練を受けた教師が、生徒の親御さんを対象とした衛生授業を行いました。
家庭における衛生環境は子どもの健康に直接関わってくるので、親に対する衛生教育が重要になるのです。
【PTAに対する衛生授業.】
校長先生やほかの先生たちが、親御さんに対して、電話による呼びかけや、招待メールを送るなどして、衛生授業を受けてもらうよう促しました。またJENの衛生プロモーターたちが子どもたちにビラを配り、毎回多くの親御さんや近隣の方が参加しました。
学校に関わるプロジェクトに親御さんが理解し関わることの重要性を強調した結果、期待した以上にたくさんの方が参加してくれました。
子どもの健康や衛生に気を配る母親だけでなく、父親やモスクを掃除する近隣の住民や先生方が授業の合間を縫って参加し、毎回活発な議論が行われました。
【PTAに説明するJEN衛生プロモーター】
親御さんとの話し合いでは特に、朝食の問題に焦点があてられました。JENの衛生プロモーターは、朝に健康的な食事を子どもに摂らせるように強く勧めました。というのも、ヨルダンの生徒は朝食を摂らずに学校へ来てしまい、外の屋台から不健康なものを買って食べていることが、しばしば見受けられるからです。
JENの衛生プロモーターチームは訓練を受けた先生とともに、今後も生徒の親御さんをはじめ親類の方々に衛生授業を行い、子どもたちの健康を守るために話し合いを続けていきます。
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9月も終わりに近づき、ここヨルダンでも朝夕は気温が下がり、秋の漂いが感じられます。これは暑い日差しの下で活動するスタッフにとっては喜ばしい変化です。
しかし一方、冬の到来は多くの課題もつきつけられます。特に、最近ヨルダンに着き、冬への十分な準備ができていない難民にとっては大きな問題となります。
そのような苦境におかれている難民への越冬支援に、毎年UNHCRの統括のもと、多くの機関がブランケット、ヒーター、衣服などの救援物資を難民に配布しています。
このプログラムの一環として、JENは2012年、2013年の冬に、ザータリ難民キャンプに住む難民全員を対象に、ユニクロをはじめ、多くの団体から寄付された冬服を配布しました。2回の衣料配布を通して、JENは合計15万人以上の難民に、衣料セットを配る事ができました。
この冬服配布は、テントや仮設住宅のような過酷な状況下で暮らす難民から、暖かく生活できると、とても喜ばれています。
JENは今年、4月に新しく運営を開始したアズラック難民キャンプで衣料配布を行うべく、UNHCRや他の関連団体と計画をたてています。そのため、先日JENスタッフは初めてアズラック難民キャンプを訪問しました。
こちらがアズラックキャンプです:
【仮設住宅が立ち並ぶアズラック難民キャンプ.】
アズラック難民キャンプは、ザータリ難民キャンプの住民数がキャパシティに達してしまったため、新規難民を受け入れるべく、今年4月30日に正式に運営を開始しました。UNHCRの正式なデータによると、キャンプの面積は約15平方キロメートルで、約13万人の難民を受け入れるキャパシティがあります。ここに、現在14000人以上の難民が生活しています。
アズラックキャンプはアンマンから90km離れた砂漠の真ん中に位置するため、ここに住む難民は厳しい天候の中での生活を強いられています。JENスタッフが訪問をした日もキャンプでは強風が吹き、日影の少ない場所に厳しい陽射しが照り付けていました。
アズラックキャンプはザータリキャンプ運営で得られた様々な学びに基づいて設計されています。両キャンプの大きな違いの一つとして、アズラックに来た新規難民は、ザータリで配布されるようなUNHCRのテントではなく、はじめから建設済みの仮設住宅に住めることが挙げられます。
この仮設住宅が数世帯分集まり「ブロック」と呼ばれる集合体を作り、ブロックごとに女性用と男性用のトイレや水飲み場が設置されています。このようなデザインは、難民自身に自分のブロックの施設管理に主体的に取り組んでもらう事によって、公共設備を管理しない事から生まれる課題を軽減させることを意図しています。
【アズラックキャンプの仮設住宅】
【このようなトイレが各ブロックに設置されています】
また、アズラックではキャンプの管理においた工夫も見られます。ザータリで盗電が問題になっている事から、アズラックでは電線を張らず、ソーラーパネルを使った外灯を使用しています。
【ソーラーランプによって夜道も安全】
冬に向け、難民の多大なニーズに対応するため、JENはアズラックの住民全員と、これから来る新規難民に衣料配布を行うため、UNHCRとの話し合いを進めています。JENは、日本の支援でアズラックに住む難民の生活をより住みやすいものにするため日々活動しています。
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JENのスタッフとなって働きはじめて2週間足らずですが、ザータリ難民キャンプでの活動を始めて10か月が経っています。ここで活動するのは非常に興味深いです。
このキャンプは、当初の「シリア難民の人々を一時的に受け入れるための緊急シェルター」としての役割から、「シリア難民の人々が再起を図るための住む場所」という位置づけに急激に移行しはじめています。難民の人々は、日に日に、キャンプ中にある自分たちの住処をより快適に住みやすくなるよう工夫を重ねています。多くの改善がなされてはいますが、まだまだ多くの困難や不都合な点、課題が残されています。
難民の人々が自ら問題を解決していけるように、彼らの能力強化を図ったり、仕組みを変えていこうとするJENの支援方法を学ぶことはとても楽しいです。JENは活動を進めていく中で、様々なレベルで様々な人々とのコラボレーションを図っています。こうした協働による活動は、みんなで一丸となって問題に取り組んでいることを実感させるものであり、大変有意義です。
コミュニティに情報を普及させるために、JENがどのようにコミュニティのメンバーを巻き込み、能力強化を図っていくのか、1つの例を取り上げたいと思います。
衛生促進のセッションをJENスタッフ自らがコミュニティの住民に対して行うのではなく、コミュニティのメンバーに知識を伝達して、そのメンバーから住民に対してセッションを行うという形に、方法を変えました。
ザータリ難民キャンプにあるJENチームのリーダーの一人であり、保健分野でのアカデミックなバックグラウンドがあるアマールは、39名のシリア難民を対象に、彼女たちがボランティアとして他の人々に対して衛生促進セッションを提供できるよう、衛生促進員のトレーニングを行いました。JENが衛生促進員の人々に最初にお願いしたのは、彼らのコミュニティにおける食品の安全性に関する知識・情報の普及でした。
私は、アマールが食品の安全性に関する衛生セッションを衛生促進員に対して行っているところを何度か目にしました。そのセッションはとても楽しいものでした。アマールは普段静かでおとなしいのですが、セッションでの彼女はとても生き生きとして、活動的で、目を輝かせながらトレーニングセッションを行っていました。衛生促進員にとってよく知られていない情報や、特によく理解を深めてほしい内容であるときには、その都度、活発な議論を交わせるように努めていました。
セッションが終わる頃、私は、なぜ無償であるにも関わらず、衛生促進員として彼女たちが、衛生に関する知識を普及させる活動をしたいと思っているのか、その理由を知りたいと思いました。そこで、私は彼女たちに、活動に協力してもらえることに感謝を述べつつ、その理由を尋ねました。ある女性は、他の人と何かするのが楽しく、誰かの役に立てることがうれしいと話してくれました。別の女性は、かつて看護師として働いていた経験があり、衛生知識を伝えることはとても大切なことで、他の人々のために彼女の知識や経験を活かしたいと話してくれました。
またこの2週間で、JENがどのようにキャンプ内でインフラを整備しようとしているのか目の当たりにしました。
例えば、詰まりかけている下水のパイプの処理を行う場面に遭遇したときのことです。そのパイプは、下水を公共トイレから汚水タンクに流すために設置されていましたが、適切な傾斜がなかったことが、詰まりの原因であることがわかりました。このような場合、穴を掘ってパイプを取り出し、正しい位置に埋めなおす作業が必要となります。その現場近くに住んでいる地域の人々は、その作業を見て、環境改善のために作業が必要であることを理解し、納得することができていました。
【 詰まりかけた下水パイプの設置作業】
他にも、興味深く感じたJENの活動があります。キャンプで活動するJENスタッフとブレーンストーミングしたときのことです。この時の議題は、普段はなかなか私たちの活動に参加してくれない難民の人々をいかに活動に巻き込むかということでした。
セッションの中で、まず私たちはなぜ人々がいつもキャンプで行うプログラムに参加してくれないのかその理由を話し合いました。それから、参加しない人々がどのような人か分類し、そうした人たちがより活動に参加しやすい内容となるプログラムを分類ごとに考えていくことにしました。こうしたセッションはとても楽しくわくわくします!
【 ザータリ難民キャンプでのブレーンストーミングのセッションの様子】
アン・ラパン(プログラムオフィサー)
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8月27日、JENスタッフはザータリ難民キャンプ内で住民と共に、コミュニティーのゴミ拾いを行いました。
このキャンペーンは、住民に「自分たちが暮らす場所を自分たちできれいに保つ」という意識を持ってもらうことを目的に行っています。
最初はJENスタッフが中心になってゴミ拾いを始め、参加者を募りながら行っていきます。
住民のなかにはキャンプを仮住まいと考えていて、自分たちの住居環境として整備しようという意識が高くない人たちもいます。このような活動を定期的に行うことにより、そういった人たちの意識の改革を促すと同時に、ゴミのポイ捨てを予防し、生活環境が改善することを目指しています。
【大人の参加者及び三輪車も動員しての作業】
今回のゴミ拾いには、登校前の子どもや仕事の合間に短時間参加する方々も含めて、約20人が参加しました。
参加者の1人、アブ・アリさんはこのゴミ拾い活動に関して「このキャンペーンはJENと一緒に活動できる良い機会であると共に、近所の人と協働するきっかけにもなります。今後も定期的にできるとうれしいです。」と話していました。
また、他の参加者のタリックさんは「JENと行うこのキャンペーンを通じて、地域のみんなと共同で掃除する機会ができてうれしいです。コミュニティーの環境のみならず、衛生の改善によって病気の予防にもなると思っています。」と話してくれました。
コミュニティーの生活環境を改善するには、住民自身による意識と行動が何よりも大切です。1日の活動ですぐに変わるものではありませんが、様々な機会を通じて今後も環境改善のアプローチを行っていきます。
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4月よりザータリ難民キャンプで、JENが支援者の皆さまのご支援およびUNHCRとのパートナーシップのもと発行している月刊雑誌ザータリマガジン“アル・タリク (道路)”の製作に、6月下旬からインターンとして携わっています。雑誌のコンセプトは“住民の声や視点を彼らの言葉で紙面に”です。国際スタッフと現地スタッフが写真撮影や編集を担当していますが、記事そのものは難民の方々が書いたものです。
キャンプ内を歩いてみて感じたのは、キャンプが想像以上に広いということです。
“離れた場所に住む人たちはどのようなことを考えているのだろう?”、“他の人たちの趣味は?”“最近、キャンプ内で流行っていることは?”など、雑誌は彼らの情報・意見交換や娯楽のひとつになっています。
雑誌を製作・配布するなかで、多くの難民の方々に出会いました。キャンプができてから2年が経ち、住民の方々の暮らしも徐々に変わってきています。現在ほとんどの住民はビニールシートでできたテントではなく、仮設住宅に住んでいます。
この仮設住宅にも実に様々な趣向が凝らしてあります。
こうしたペイントや装飾などはほんの一例に過ぎませんが、キャンプにはアートを得意とする人、詩や文学を好む人、スポーツに励む人などなど、様々な才能を持った人たちがたくさんいます。そしてキャンプ総人口の半分以上を占める17歳以下の子どもたち。 “難民キャンプ”という限られた状況の中であっても、子どもたちはそこから何かを考え出し、創り出すという力を持っています。
キャンプは、子どもたちや若者の可能性でいっぱいです。
絵を描いたり、記事を書いたりするなど、子どもたちはそれぞれの個性を生かしてJENの雑誌に参加することができます。それだけにとどまらず、若者たちがプロの写真の撮影方法を学んでその写真を雑誌にのせたり、雑誌の特集選びから編集までを担うようになることで、この雑誌を今後、若者の持つ創造性・可能性をさらに高める手段にしたいと思っています。
岡部
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