3月下旬に、個人的な旅行でヨルダンを訪れ、1日目はザータリ難民キャンプ、2日目はパレスチナ難民キャンプを訪問しました。
私たちの訪れた「バカアキャンプ(パレスチナ難民キャンプ)」は1967年に設立したキャンプで、50万人もの人が住んでいます。最初はテント暮らしだったそうですが、現在は1階建ての建物が建ち、人によっては2階も増築しています。40年以上経って、見かけでは「難民キャンプ」というより「街」という感じです。
ここに住む人々(パレスチナ難民)は、ヨルダンの市民権を持っており、職に就いている人も多く、経済的に恵まれている人の中には、キャンプ外に土地や家を買って暮らしている人もいます。子どもたちも学校に通い、ヨルダンで生まれ育った子どもたちの中には、大学の医学部や工学部に通っている生徒もいます。
衣食住に困ることはなく、爆弾や砲撃におびえながら過ごすこともない。『平和』な暮らしをしているように見える生活。しかし、彼らにとってヨルダンは故郷ではない。いつか故郷のパレスチナに帰れる日を待っている。
ザータリ難民キャンプは、いつまでつづくのだろうか。果たして、20年後に人びとは故郷に戻っているのだろうか。それとも、すでに商店街ができている難民キャンプは、「街」になっているのだろうか。
そんなことを考えた旅でした。
(本部事務局 浅川)
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モハマッド アル ヒラキーさん(19歳)にとって、ジャーナリスト育成ワークショップは夢への第一歩でした。
「ジャーナリストになることは子どもの頃からの憧れで、シリアからヨルダンに逃れてきた後も、それが叶うことをいつも願っていました」と語るモハマッドさんは、2012年からザータリキャンプで避難生活を送っています。
「この機会を通して、真実を自分の目で見て雑誌や新聞に執筆することを切望していました。キャンプで行われる各種イベント情報を聞くたびに、その中からジャーナリストへの道に通じるようなイベントがないかといつも考えていたところ、JENが発行している月刊誌に辿り着きました。そして、その月刊誌の編集部がジャーナリスト育成トレーニングを開催すると聞いたときは心躍りました」。
JENは昨年の4月からザータリキャンプで月刊誌「The Road」を発行しています。キャンプにはマスメディアが存在していないことから、この月刊誌はキャンプに住む難民と支援団体の双方が情報を発信できるようになっています。難民にまつわるさまざまな話や詩やレシピ、利用できるサービスの紹介やキャンプ生活の知恵などが、主に難民の方々の発信により記事となっています。
また、昨年の10月からJENは、難民の方を対象にジャーナリスト育成のワークショップを始めました。全4回のワークショップでは、執筆に関する文法、インタビューの仕方、記事の書き方、レポーティングや取材倫理に関するプログラムを15歳~24歳の参加者を対象に行いました。
一連のプログラム終了後、参加者たちは次の発刊に向けた記事の執筆と、デザイン作業の補助などを行います。
2015年4月現在、20名のボランティアがトレーニングを完了し、それぞれが月刊誌の記事を書いています。
【参加者の声】
マリック アルザフラさん(20歳)
「キャンプ内の友人がジャーナリストのバッジを付けて、月刊誌の取材とインタビューをしていました。それを見て私もやってみたいと思い、友人にワークショップの開催予定を聞き、すぐに登録しに行きました」
アスマーさん(初めての女性参加者)
「トレーニングを通じて取材準備の大切さを学びました。インタビュー相手は常にその分野の専門家であるという認識のもと、その人物やトピックの背景について事前に調べおく必要があります」
月刊誌発行のたびに、JENでは老若男女織り交ぜて50~60名の難民の方々に取材をしています。記事は全てキャンプ内のコミュニティーから発信されており、コミュニティーの情報、サービスやイベント、暮らしの知恵などが掲載されています。
トレーニングに参加したアル ヒラキーさんは「記事には社会的責任があり、モラルが求められていることを私たちは良く理解しています。内容は正確かつ客観的であることが必要であり、個人を利するものであってはいけないことを常に心がけています 」と話してくれました。
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「水は命の源であり、健康と繁栄に不可欠である」とは、世界水の日のキャンペーン参加者が発した言葉です。彼はまた「このイベントは、難民キャンプで生活している者にとってキャンプの中にいる時にも将来シリアに戻った時にも大事な意味を持つ問題に取り組んでいる」とも発言しています。
3月22日、水の利用に関するJEN主催の啓発キャンペーンが、シリア難民の方々を対象にザータリキャンプで行われました。テーマは健康のための清潔な水の必要性と、限られた水を有効活用する必要性です。
キャンペーンは、男女をそれぞれ大人・10代の若者・子どもの3つのグループに分けて行われ、複数のアプローチを通じてメッセージが届けられました。
大人グループではキャンプに供給される水の安全性、一人当たりの供給量、水質検査基準について話し合いがなされ、また水の再利用法についての説明が行われました。参加者から前向きな反応が見られ、特にヨルダン国内の水事情を引き合いに出すことによって理解が得られました。
一方、14~18歳のグループではセッションの後で、実際にキャンプで稼働している井戸の見学を行いました。また、子ども対象のセッションでは劇や歌・ゲームを通じてメッセージが届けられました。
参加者の多くから「このような活動が子どもたちの行動に影響を与え、水を大切にすることに役立つだろう」という感想をいただきました。
【Water is limited resource/水は限りある資源です(左)/ Keep the water safe/水を大切に(右)】
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衛生プロモーターは1回のセッションにつき、8名~10名の女性住民を対象に、JENの地域センターのスペースや衛生プロモーターの居住空間などで実施されました。セッションにはJENのスタッフも1~2名が同席し、サポートをしました。
セッションを通じて、女性たちは多くの新しい知識を得ることができました。最初のセッションで、女性たちが自分たちをケアする衛生知識の中に多くの迷信や誤解が含まれていることが明らかになり、多くの女性が1か月のサイクルの中で自分たちの身体に起きていることを理解することができました。
彼女たちは、セッションが進む中で多くの質問をするようになりました。私たちは生理などで何か問題が起きたときには難民キャンプの医者に尋ねるよう伝えました。女性たちはこうした生理などの衛生に関するトピックに対し学ぶことに強い関心を寄せるようになりました。
衛生セッションの最後には、女性は、UN Womenの資金協力を得て購入した衛生キットを受け取りました。この衛生キットには、女性たち自身をケアするためのグッズや居住空間を清潔に保つための様々なアイテムが含まれています。
この衛生セッションを通じて私たちが学んだ最も驚くべきことは、何であったと思いますか?
当初私たちは、これほどまでに女性たちが関心を持つとは考えておらず、すべてこちらから情報提供しなければならないと考えていました。しかし、セッションを始めてすぐ、私たちは女性たちから多くの質問を受けることになりました。
女性たちは様々な迷信を信じていましたが、中でも食べ物に関係する迷信が多く見受けられました。たとえばレモン、たまねぎ、コーヒーといった特定の食物は体によくないものであり、特に生理中の女性がこうした食物を調理したものを家族が食べるとその家族が健康を害するおそれがある、というものです。衛生プロモーターはこうした生理に関係する迷信の誤解を解き、正しい知識を女性に伝える専門家となりつつあります。
今後、私たちが取り組むこと….
今回の衛生セッションを通じて、多くの女性がJENの衛生プロモーターに対して様々な質問を投げかけることができたので、生理に関するトピックは一般化しました。
2週間前、私たちは16名の新しいボランティアに対してオリエンテーションを行いました。新しいボランティアの人々は、今、感染症の拡大、正しい手洗いの方法や正しい手洗いの回数、また住民とのコミュニケーションの取り方など、衛生に関する知識を身につけるために学んでいます。
今回、生理に関する衛生セッションを実施した女性の衛生プロモーターの一人は、他の衛生分野のトピックも扱っていこうと議論を始めています。すでに、次に向けて歯に関する衛生セッションの準備に取りかかっており、さらにその先には、節水に関するセッションの準備に取り掛かろうと計画しています。
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ザータリ難民キャンプには、現在約83500人のシリア難民が生活しています。この難民キャンプにおいてJENが担当している地区には、12歳~39歳までの女性がおよそ3600名います。
通常若い女性は、女性特有の衛生的な知識、例えば生理などについて、母親や叔母、同世代の女性たちから得ます。しかし、難民キャンプで暮らす多くの女性は、保健衛生に関する公的な教育を受ける機会がなく、正確な情報を得ることができていません。また、多くの人が家族や親せきと離散しており、若い女性や少女が、通常そうした知識を教えてくれるはずの女性が家族にいない中で、難民キャンプでの生活を送っているケースが多く見られます。
そこでJENは、女性や若い女性を対象に、自分たち自身の身体をケアするための知識を得られる衛生セッションを実施することにしました。
2月に、JENのスタッフは、セッションで提供する生理に関する衛生教育の準備に取り掛かりました。スタッフは4回に渡って、女性たちが得るべき重要な衛生知識は何か議論しました。また生理のメカニズムを説明するために図解化した資料を作成したり、参加者から受けるであろう質問への回答の準備などを行いました。
JENは準備した女性を対象にした衛生セッションを、同じシリア難民でキャンプに暮らす人々で、ボランティアで活動している衛生プロモーターを通じて、女性住民に対し実施していくことにしました。
JENはまず、今回のセッションについて、13名の女性の衛生プロモーターに研修を行いました。生理に関する衛生セッションは、女性同士でもなかなか共有しづらいトピックであることから、住民に対して行う前に、衛生プロモーターを対象に、小さなグループで研修を行う形で進めていきました。
研修後、JENは衛生プロモーターに自分たちが住む地区のコミュニティを対象に、2か月間で3回の衛生セッションを女性住民に対して実施してもらうように依頼しました。
衛生プロモーターによる衛生セッションはどのようなものになったでしょうか?
(続きは次回掲載します。ぜひご覧ください)
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【緊急企画】イラク国内避難民緊急支援活動報告会を開催します。
イラク北部にて緊急支援に従事しているスタッフが帰国します。
今、イラク北部でなにが起こっているか、JENは国内避難民に対しどのような支援活動を行っているか、今後の活動の展開は、など、緊急支援活動報告会でご紹介いたします。
ふるってご参加ください。
くわしくはこちら
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