「キャンプで好きなのは、庭だけだ。キャラバンもこの暑さも、好きじゃない」
こう話すのは、ザータリ難民キャンプに暮らすシリア難民の男性。シリアはきっと豊かな大地なのだろうと、そのあと彼が目を輝かせて話すシリアに耳を傾けました。彼が教えてくれた美しい国、シリアを探して、インターネットで「シリア」を検索してみました。すると、検索結果は銃や戦車、破壊された街々、そして呆然と立ち尽くす人。美しい、いや、戦闘前のシリアを探して、「シリア 街並み」と検索してみると、今度もまた、瓦礫の山が出てきました。キャンプの壁にサインペンを使って子どもたちが元気いっぱい描いていた自然豊かなシリア、友人たちが語る雄大なシリアは、想像するしかありません。
キャンプから北方へ目を向けると、日本とは違う薄桃色にもやがかった地平線が見えます。15キロ先のそこが、祖国シリアです。キャンプに暮らす人びとが、平和になった祖国に戻れる日はいつ来るのでしょう。私はここで、わずかな時を彼らと共に過ごさせていただいています。インターンを始めて1ヶ月、ここで、私は何を学ぶことができたのか、ラマダンが終わる区切りの今日に、書き記しておきたいと思います。
私は現在、JENが情報共有手段としてまた、職業訓練として難民の方を対象に実施している雑誌プロジェクト「月刊誌“アルタリク(THE ROAD)”」と、支援物資としてこれまで3年にわたり配布させていただいた冬物衣服のうち、汚れや破損があったために配布しなかった不良品を再利用する女性のクラフト作りのプロジェクトに参加させていただいています。活動への参加を通して、自分はなにができるだろうか。この1ヶ月間ずっと考えていました。ピエロの格好になることで、人びとに笑顔を取り戻すことはできないだろうか。そう思ったのは、私がへたなアラビア語を話すときや、日本の話やシリアの話をするとき、共に何かの活動をするときに、人びとの楽しそうな様子を肌で感じたことがきっかけでした。
【ザ―タリキャンプ月刊誌“アルタリク(THE ROAD)”】
今日も月刊誌メンバーは、勇んで次号の記事のためのインタビューに出かけていきました。私も同行しました。アラビア語があまりわからない私でも、取材に同行すると必ず新しい発見があります。こうして、同じときを過ごし学び、ともに考えることで、私自身もキャンプ生活に何か新しい、少しだけ楽しみに感じる何かや、小さなアイディアを提案できたらいいなと思っています。
7月、キャンプ敷地内の気温は日中40度を超える日が続きます。私は、キャラバンの脇にできた木陰に、アラビア風のマットを敷き、その上に寝転びます。庭の緑を揺らすわずかな風を感じれば、なんだか少しは心地よい。その風に吹かれながら再びシリアに想いを馳せてみる。男性が教えてくれた美しい祖国シリアを想像しつつ、彼らが好んでくれるようなピエロになるべく精進していきたいと思います。
インターン生
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*通信欄に「シリア難民」とご記入ください*
“厳しい陽射しが、ヨルダンの乾いた大地に照りつける
巻き起こる砂ぼこりが眼に痛い
雲ひとつない美しい青空が時折恨めしく思われる”
* * *
私は、JENのヨルダン事務所でインターンとして国際支援について学んでいます。
ザータリ難民キャンプに来るのは今日で6日目になります。前述の一文は、私が初日に日記に書きつけたものです。
私がキャンプに対して抱いた印象は、その気候の厳しさだけではありません。秩序が保たれている様子にも感心しています。キャンプ内は12の地区に区分され、シャンゼリゼとよばれる中心通りでは、野菜や肉などの食材のほか、洋服や香水、おもちゃが売られています。ゲームセンターもあるそうです。ここに来ると、いつも活気と若さを感じます。道という道には、きちんと電気や水道があり、道もすべてコンクリートで舗装されています。もともと何のつながりもない人々の間に、コミュニティが生まれていく。何もないところから、経済や社会ができていく様子は、まるで都市の発展の歴史を辿っていくような気さえします。
私は今、JENが発行する月刊誌“アルタリク”(アラビア語で“道”の意)の製作チームに所属しています。この月刊誌は、キャンプ住民の、キャンプ住民による、キャンプ住民のためのマガジンで、住民のボランティアチームが主体となって、住民から記事を集めます。チームのメンバーには、僕はジャーナリストだと胸を張って語ってくれる人もいました。かれらは、JENが企画したジャーナリズムトレーニングを修了した人たちです。
私は、難民キャンプといえば、祖国の戦禍を逃れてきた人々のための一時しのぎのシェルターと思い込んでいました。実際にキャンプにやってくると、いろんなことが見えてきます。たとえば、ここザータリキャンプは、「学びの場」として機能しています。
キャンプ内のコミュニティーセンターでは、女性のための健康セミナーが定期的に開かれています。JENの衛生環境改善事業の一環で行うこのワークショップは、家族の健康に重要な役割を担う女性(主に成人女性)が対象です。以前配布した冬物衣料のダメージ品を使った古着リサイクルプロジェクトもまた女性を対象にしています。私が見学した日は、女性たちが古着のリフォーム方法を習っていました。住民は、いつ終わりがくるか、見通しのたたないキャンプ生活を少しでも有意義にしようと、学ぶ機会に積極的に参加しています。
日々強さを増す陽射しに加え、今日からラマダン(イスラム教の断食月)が始まります。私にとっては、初めてのラマダンです。キャンプの“今”をスーパーバイザーや、キャンプ住民の方々から引き続き学んでいけたらと思います。
堀
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2014年12月25日の支援速報で、12月からヨルダン全土において公立学校における調査中とお伝えしましたが、今年4月に全調査を終えました。
JENが教育省から入手した学校のリストでは、学校の総数は3,658校でしたが、調査の結果、23校の登録もれが見つかり、公立学校の総数は3,681校であることがわかりました。その後、この調査内容が正しいかを判断するために、ユニセフが6月までに157校で抜き打ち検査を実施し、JENが実施した調査結果の95%以上が正しいと判定されました。
JENは、ヨルダンでのシリア人難民キャンプでの活動と同時に、ホストコミュニティで受け入れられているシリア人の子どもたちと、受け入れ側であるヨルダン人の双方を対象にした活動も実施しています。
ヨルダンの教育省は、公立学校でシリアから逃れてきた子どもたちを受け入れ、教育の機会を提供しています。しかし、5年前に勃発したシリア内戦には終わりが見えないため、シリア人の生徒が増加し、既存の校舎や水衛生施設を利用したままの状態では受け入れをする環境が非常に悪くなってきました。
特にシリアとの国境沿いの県や、首都のあるアンマン県では、午前と午後で生徒を入れ替えて授業を行う公立学校が増加傾向にあります。また、ヨルダンの高い物価が生活を圧迫し、都市部から地方へ移る難民も増えてきました。
シリア難民を受け入れるヨルダン政府や人びとへの負担が大きくなっている一方で、教育省による学校での支援ニーズ把握が追付いていないという現状があります。
ニーズを正しく把握し、迅速で適切かつ効率的な支援を実施するためには、ヨルダン政府や国連、NGOなどの各支援機関と協力していくことが必要です。今後、この調査の報告書をヨルダン政府や政府開発援助機関、及び国際機関や地元NGOと共有し、ヨルダン全国の学校を対象にした支援につなげていきます。
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難民になって起こった生活の変化の一つに、多くの自由な時間ができたことです。母国シリアにいた頃は毎日生活が忙しく、暇な時間などあり得ないことでした。私たち女性はその時間を有益に使って人の役に立ち、尊厳のある人間として生きたいと思っていました。
そんなある日、JENの古着リサイクルプロジェクトの事を聞きました。私を含むキャンプに住む女性たちはそのアイディアが気に入り、皆でそのプロジェクトに参加することにしました。
まずスーパーバイザーが、古着をリメイクしてカーペットや鞄にする方法を、ビデオで見せてくれました。そしてそれぞれの女性が自分でどんなものを作りたいのかを決め、好きな布(古着)を選びます。例えば男性用のシャツはベッドカバーやカーテンに適していますし、カラフルな布は編み込み絨毯に使われます。三つ編みにする方法さえ知っていれば、残りは簡単に制作できます。今では、プロジェクトに参加しているほとんどの女性が三つ編みの方法を知っており、思い思いの作品を作っています。
現在、キャンプ内に住む30名の女性が“古着リサイクルプロジェクト”に参加し、中心的な存在として活動しています。また彼女たちの他に、キャンプ内の違う地区に住む女性たちも毎週の集まりに参加したりします。多くの自由時間を古着のリメイクに費やしながら家族の為になるものを作ったり、また、創造力を働かせて作品を作ることで、生きる力や達成感を味わうことができています。
誇りを持って作られた作品は、家の中やキャラバンの飾りつけに使ったりしています。将来はキャンプ内、マフラックやアンマンの外でも作品を販売をして、ビジネスとして展開していけたら、と思っています。
ナディア
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シリア紛争が勃発してから4年。シリア難民の数は、400万人にものぼる勢いで増え続けています。この度、ヨルダンでJENが行うシリア難民支援についてご紹介するページを立ち上げました。ぜひ、難民キャンプで生きる人びとの今をご覧ください。
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