2018年3月31日をもって、JENがザータリ難民キャンプで行ってきた支援活動を終了いたしました。この場をお借りして、支援者の皆様には深く御礼申し上げます。
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シリア危機の長期化に伴い、難民キャンプでも、中長期的な視野を備えた運営が大きな課題となりました。JENを含む国際機関は、キャンプのインフラ整備やコミュニティ形成の支援活動に、これまで以上に取り組みました。
若者を対象にしたメディアプロジェクトや、女性を対象にした共助活動は、長期化するキャンプ生活のなかで、一人ひとりが生き甲斐を見出だし、自立の一歩を踏み出すきっかけとなるよう、行った活動です。
これら、一つひとつの活動を現場で支え、発展させたのは、地元ヨルダン出身のJENの現地職員や、活動に積極的に参加してくれたシリア難民のボランティアたちです。
彼らの献身的な貢献に感謝をこの場をお借りして伝えたいと思います。
シュクラン・クティール!شكرا لك!(本当にありがとう!)
*ヨルダンでの活動について、くわしくは、こちらから。
* JENが難民キャンプで行ってきた活動は他国際機関に引き継ぎました。
お礼とご報告:前編 | 難民キャンプの活動を終了しました。
2018年3月31日をもって、JENがザータリ難民キャンプで行ってきた支援活動を終了いたしました。この場をお借りして、支援者の皆様には深く御礼申し上げます。
シリア危機が始まった2012年、JENは多くの難民を受け入れるヨルダンでの緊急支援を開始しました。同国北部に設置されたばかりのザータリ難民キャンプと、全国に分散する難民とその受け入れコミュニティ(ホストコミュニティ)での支援を行うためです。
シリアとの国境に近いザータリ難民キャンプに避難する人びとの数は日を追うごとに増え、開設当初2万人弱だった人口は数カ月の内に最大で13万人にもなり、混乱を極めました。その後、長期化するキャンプ生活では、ニーズに合わせ活動も変化を続けました。
当初は、レセプションセンター(難民登録場所)での物資配布や衛生環境の整備が主な活動でした。洗濯場の設置、衛生知識を普及するための促進活動や節水の啓発活動 、公衆トイレや貯水タンクの設置と管理 、キャンプ内の清掃、上下水道の整備 等様々な活動を行いました。
つづく
ヨルダンでの活動について、くわしくは、こちらから。
*JENが難民キャンプで行ってきた活動は他国際機関に引き継ぎました。
子どもたちが衛生的な行動を日々の生活習慣として身に着けられるようにするためには、親の理解が重要です。そこで、JEN衛生教育チームは保護者会(日本でいう、いわゆるPTA)向けに衛生セッションを開催しました。セッションでは、手洗いの方法など基本的なことから、子どもによく見られる感染症や生理に関する正しい知識を親と先生に伝えています。
イルビッド県にあるハワラ女学校(Hawara basic school for girls)では、校長先生へのヒアリングをもとに、感染症予防や対策方法および衛生教育について正しい知識が得られるよう、セッションを行いました。
感染症については、子どもによく見られるシラミや皮膚病について話をしました。シラミは感染していることに親や子どもが恥じて病院に行けないことがとても多いため、まずは家庭でできる治療法を紹介しています。
加えて、今回は女学校でのセッションであったため、生理教育についても話をしました。月経については文化的に話をすることをタブーとする親が多く、初潮を迎えた際に子どもが困惑するケースが多く見られるため、親が子に説明をすることの大切さを伝えています。また、昨今はインターネットでいろいろな情報にアクセスできますが、知識がないと正しいかどうか判断が難しいため、生理に関する正しい情報を伝えています。今までこのテーマについて人に聞くことができる機会がなかったため、親や先生からはたくさんの質問を受け、2時間にわたるセッションとなりました。
今回参加してくれた約120名の母親たちや先生方が、今後正しい知識を子どもたちやコミュニティに広めてくれることを期待しています。
ホストコミュニティーチームでは現在、公立校11校の修繕および増築を行っています。
シリアとヨルダンの国境に位置するイルビッド県にあるマーロー女子校(Marw basic school for girls)では、教室および廊下修繕工事の一部が完了しました。この学校には、6歳から12歳のヨルダン人とシリア人の生徒318人が通っています。
ヨルダンの首都、アンマンと東京の平均気温は通年を通してほぼ同じですが、教室には暖房設備が備え付けられていません。廊下には窓がないため冷たい風が直接教室に吹き込んで教室が冷え込み、また、雨が降る日は廊下が水浸しになって滑り、とても危険でした。
今回の修繕工事では、廊下に窓を設置し、風雨を防ぎ、同時に床の張り替えも行いました。床は強度が高く、汚れにくく滑りにくい磁器タイルを使用することにより、安全に衛生的に長く使えるよう工夫をしています。
同校では4つの教室の増築工事も行っています。ヨルダンおよびシリアの子どもたちが勉強に集中できるような学校づくりを目指し、4名のJENエンジニアが日々工事現場に足を運んでいます。
<修繕前>
壁が低く(元の外壁の高さは右の白い部分)、落下の危険があったうえに風雨にさらされるため、雨が多い冬は特に危険。また、床はセメントのため汚れを吸収してしまい、不衛生でした。
<修繕後>
壁を高くして補強し、窓をつけ風雨が直接教室に吹き込まないように修繕。床は強度が高く、汚れにくく滑りにくい磁器タイルを使用。
教室内の塗装および床の修繕も行い、衛生的な教室で授業が実施できるようになりました。
不安定な暮らしが続くザータリ難民キャンプでは、「20年前の慣習」と見なされていた若年婚が急増している。その背景には何があるのか。自身も若年婚の経験者である男性記者が、難民たちに取材した。
なぜいま「若年婚」が急増しているのか
Text by Louay Saeed
ザータリ難民キャンプの住人の離婚率は高い。その一方で、若年婚も増え続けている。
キャンプ内では若年婚に対し、賛否両論の声があがっているが、「いつまでも独身のままでいたくない」という理由から若年婚に肯定的な女性も多い。だが、早すぎる結婚によって生じるさまざまな問題が認識されていないのも事実だ。
我々はキャンプに暮らす人々に若年婚についてどう思うか取材した。3人の娘の父親であるアブ・イムラン(50)は、若年婚反対派である。
「娘たちが精神的に成熟して世のなかを理解するまで、絶対、結婚を許しません。年齢で言えば18歳以上でしょうか。若年婚を許せば、結局娘たちを苦しめることになる。娘たちにはまずは勉強してもらいたい。結婚はその後です」
アブ・ハリードもイムランの意見に同調する。
「シリア内戦が起きる以前、若年婚はそこまで多くありませんでした。いまではザータリ難民キャンプで住民が集まると、必ず結婚、特に若年婚の話になります。(若年婚が増加する理由は)いろいろとあると思います。難民キャンプで暮らすうえで、若い女性は保護されなければならず、夫の家で守られるべきだと考える人が増えているのでしょう」
キャンプの第6地区で会ったウム・ハディは、14歳の娘を嫁がせた親戚の話をしてくれた。
「親同士が友人だったんです。新郎は17歳でしたが、2人は結婚して3ヵ月後に離婚しました。妻が家事をこなせなかったというのがその理由です。結婚の話を断ると両家の関係が悪くなると私の親戚は心配したようですが、14歳という年齢は、やはり結婚には早すぎます」
アブ・オバダ(40)によれば、若年婚は男性よりも女性に強い影響を与えるという。
「若年婚によって、少女たちは自分の夢をあきらめなければなりません。我々の社会では、女性と男性に対する見方が違うのです」
20年前は、若年婚は珍しいことではなかった。だが、やはり若年婚は長期的にはうまくいかない場合が多い。若年婚反対派のアブ・バシャールも若年婚の多くは失敗に終わると話す。若い女性がちゃんと教育を受けて生きる術を学ぶほうが、夫婦にとっても良い結果となると彼は考えている。
キャンプで支援活動をするNGO団体などが、若年婚の減少に一役買っていると考えている人は多い。ウム・スレイマン(55)は、若年婚に関するあるセッションに参加したことで、そのリスクをよく理解できたと語る。
では、若年婚の賛成派はどのように考えているのだろうか。
ウム・ラーエド(57)は、「女性のいる場所は台所」だと考えている。若年婚によって女性は守られるし、若いうちに結婚しておかないと「行かず後家」になってしまうと彼女は心配する。ラーエドは、娘たちの教育にはあまり重きをおかず、全員若いうちに結婚させた。
アブ・マルワン(62)も、「我々の時代、若年婚は男性にも女性にも何の問題もなかった」と話す。
かくいう筆者の私も、16歳のとき14歳の妻と結婚し、娘たちを早く嫁がせた。いまは孫が結婚する年齢になっている。それゆえ、個人的には若年婚が問題だとは思っていない。夫のそばにいることほど、若い女性の安全が保証されることはないと思うから。
本を読む喜び
今日は待ちに待った本の日。支援団体から子どもたちのために児童書が配られる。内容は愛や平和について書かれたものばかりで、子どもたちのために厳選されたものだ。
娯楽の少ない難民キャンプでは、本はとても貴重だ。子どもたちは我先にと本を受け取り、夢中になって読みふける。
この動画のために特別に作曲されたヨルダンの人気バンド「Zaman Al Zaatar」の楽曲も素晴らしい。
The Road ×クーリエ・ジャポンの記事はこちらからもご覧いただけます。
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