今日はちょっと「えふの記録」
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というブログを書いている「えふ」さんというブロガーについて紹介させてください。このブログのことを知ったのは最近私の『ダイバーシティ』について、優れた感想(書評)を書いてくださったからです。
「えふ」さんのブログを覗くとChabo!ロゴがまず目に飛び込んできます。Chabo!を応援してくださっていることがわかります。
ブログには勝間さんの最近の言動、例えば近著「七つのフレーム・ワーク力」やTBS対談の内容など、について情報の豊富な記事(6月19日から21日)もあります。TBS対談では勝間さんの移民政策に対する考えが紹介され、『フレームワーク力』からは例えば失敗の分類(良い失敗1種と悪い失敗3種)などが紹介されています。
実は私は日本企業の意思決定(特に人事)は「作為の誤りのコストを過大評価し不作為の誤りのコストを過小評価する」傾向があると『論争 日本のワーク・ライフ・バランス』で論じているのですが、ここで私のいった「作為の誤り」が勝間さんのいう「良い失敗」に、「不作為の誤り」が「悪い失敗のタイプ3」にほぼ対応していることを知りました。
日本企業(特に減点主義的評価が支配する部門では)良い失敗が罰せられ、悪い失敗が大目に見られるという非合理的構造があるように思います。もちろんアメリカは減点主義と逆の得点主義なので、良い失敗(意図は良かったが空振りの三振に終わった)は寛容に評価され、悪い失敗(良い球を見送って三振した)は否定的に評価されるという合理的な判断になります。
私は勝間さんは失敗のタイプと評価についてより広くかつわかりやすく説明していると思いました。勝間さんの本は、この近著でも、これまでの本例えば時間投資法の本でも、合理主義と、ポジティブ思考の大切さ、をわかりやすく具体的に説明しているのが、一つの大きな魅力なのですが、えふさんの記事は、その特徴をうまくとらえ魅力を伝えていると思いました。
『ダイバーシティ』の前半の『六つボタンのミナとカズの魔法使い』について「えふ」さんは、以下のように記しています。
「ファンタジーは、なかなか楽しめた。ミナという若い女性の冒険物語とでも言うのだろうか。ミナは航海士になり、ひとりで魔法使いカズのいる島に出かけていく。島についたら、場所場所に関門があって、選択を間違うとカズには会えないかもしれない。その困難を乗り越えていく話だ。
その話の中に、社会学理論や論理学など社会科学の知識が織り込まれている。ミナは、島の住民の謎かけを論理的に解きながらカズのいる城に向かって道を進んでいく。
普段、ファンタジーを読むことはほぼない。よって、このファンタジーが『ファンタジーとしてどうか』については、私にはわからない。しかし、旅の途中でのミナの心情には非常に共感できる部分がある。これは、私がミナに近いというようなことではなく、おそらく、この物語がもつ普遍性のためではないかと思う。それらは、社会学のテーマにもなっている。ミナの、人と違う自分のとらえ方、親に対する思い、孤独はどういう構造をもつものか、などなど、深く考えさせられることが多く、ミナの悲しみの描写には身につまされるものもあった。
このファンタジーは、ダイバーシティの重要さについて、ミナがわかることで、読者である私たちにもそれを教える。非常に論理的なファンタジーだと思う。」
著者である私自身が、この評をどう思うかについては記しませんが、こういう読み方をしてくださった読者がいたことを、大変嬉しく思ったことは記したいと思います。
「えふ」さんのブログを(選択的に)読んで何よりも思ったのは、Chabo!はこういう素晴らしい読者層に支えられているということです。またこういう読者の声が著者にインターネットを通じて伝わるいうのも昔は考えられなかったことで、現在は読者と著者の距離は確実に小さくなったとの思いを持ちました。