2008年05月11日 01:10 | パーマリンク | 2 Comments | 酒井 穣
Chabo!メンバー著者の酒井 穣(さかい・じょう)です。
オランダに暮らして、もう8年にもなります。
ここオランダは、発展途上国への支援活動に熱心な国として知られています。『オランダモデル』(長坂寿久著)によると、オランダは国民の3人に1人が何らかの支援活動に直接関わっており、さらに寄付などの間接的な関わりまで入れると、国民の実に半数以上が支援活動とつながっているのだそうです。
もちろん、オランダ社会にも多くの問題があるのですが、そこに暮らす人々の社会参加についての経験と理解という意味では、オランダは日本を圧倒しています。
例外も当然あるでしょうが、思い切って一般化してしまえば、オランダでは、支援活動にとって最も重要な要素は、オランダ国内の人々の教育であると考えられています。この背後にあるのは、「先進国の内部構造に変化が起こらなければ、発展途上国の内部構造に変化を起こすことはできない」という、オランダらしい徹底したリアリズムです。
船底に穴が開いてしまった場合は、まずは穴を補修してから船内に入ってきた水をかきだすでしょう。支援だって一時的な援助ばかりでは不十分で、やはり構造的な部分に手を入れて行かなければなりません。そして、構造変化を起こすための具体的な方法としての教育の持つ力は非常に大きいと思います。
先進国に暮らす我々は、ともすれば、穴が開いているのは発展途上国のほうだと決め付けてしまいがちです。しかし実際には、先進国と発展途上国というのは、分かちがたい一つの巨大な社会システムなのであって、大きな穴が先進国の側にも開いているのだという考え方は、我々もオランダに学ぶべきではないかと思います。
これからChabo!の皆様と一緒に、そんな支援活動について、広くこのブログで意見交換をして行けたらと思います。
(よろしくお願いします)
2 Comments
投稿者: hoshi-zora | 2008年05月12日 02:04
酒井 穣さま、はじめまして。
私もこのような支援活動が、日本では諸外国に比較して少ないような気がいたしておりました。諸外国では、日常的に地域ボランティアや発展途上国の支援や宗教活動等さまざまな支援活動が盛んであるというふうに聞いております。日本は、教育についていろいろ問題点はありますが、発展途上国の教育の事情とは、比較のしようもない程、恵まれている状況であると思います。書籍を購入することで、私たちは、著者の智恵を共有できる上に、発展途上国の教育支援等に携わることができることは、すばらしいことだと思います。酒井さまのご著書も、かねがね気になっておりましたので、近々、「はじめての課長の教科書」を購入させていただこうと思います。
オランダからのブログ感動いたしました!
投稿者: 酒井穣 | 2008年05月15日 04:02
*hoshi-zoraさま
はじめまして!コメントありがとうございます。
僕も、日本はもっと色々な面で底力があると思います。どこか自信を失ってしまっているようなところがあり、こうした活動を通して、自分たちに出来る事は多いということを再確認することで、ムードがポジティブに変わって行くと良いです。
拙著の購入、ありがとうございます。今後とも、よろしくお願い致します。